第2話

 そんなある日。


 突然、家のチャイムが鳴った。

 ドアを開けると、清らかな歌声が玄関いっぱいに溢れ出すじゃないか?!


 玄関に現れたのは、一人の少女。

 サンタクロースの服装をした少女は一通り歌い終わると、ぼくにニッコリ笑って「メリー・クリスマス!」と言ってお辞儀をした。

 

 それにしても、なんて綺麗な歌声だったんだろう。


 終わってしまったのに、まだ耳の中に余韻が残っている。


 今まで聴いた歌なんか足元にも及ばないや。

 それになんて可愛い女の子なんだろう。


 ぼくはその歌声ごと少女を好きになってしまっていた。


「御拝聴どうもありがとうございました!」


 そう。少女はお辞儀をしたまま回れ右をして、帰ろうとした。


「待って! 君の名は?」

「え?!」

「また来てくれない?」

「ええ……それでは、明日も来ますね」


(少女が小声でお代は十分に貰っていますから……)


 というのが聞こえたけど、その時は気にしなかった。

 そうだ!

 今日はクリスマス・イブだった!

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