第26話 脱出前のパーティー④
私も泣き止み、一通りごはんを食べ終わったあとにデザートを食べることになった。
「あら、ガンダもつくったの?」
「うん。昔よくつくったの思いだして」
「ハハッ、お前もなんか思いだしてんじゃん。ミロワと以心伝心してるんじゃねえか?」
「うるせぇ、しかも俺のはそんな感動的なやつじゃねぇんだよ。」
と言いながら、ガンダは冷蔵庫からあるものを出した。
「あ!それって!!」
「そう。【レモンゼリー】だ。昔よく3人で食べただろ。」
「お前のつくるレモンゼリー食べるの久々だね。」
3人は昔から仲が良いのか。なんかその3人の中に割り込んで入ってるの申し訳ないな…
と思いながらレモンゼリーを口に運ぶ。
「…!!美味しい…!!」
「ガンダのつくるレモンゼリー私大好きなのよね!!」
「久々に食べたけど、やっぱこれだね。」
「そんな褒めてもなにも出ねぇぞ。」
ガンダはフッと優しそうに笑った
ガンダのつくったレモンゼリーはキラキラしてて、とても美味しかった。
「ガンダのつくったゼリー、食べた後だけど、私も実はデザートつくったんだ。」
「お!待ってたわよ!!」
「俺のゼリーに勝てるかな?」
とネグとガンダはわくわくしている。
その中で1人
「え、ねえ、僕なにも知らないんだけど。」
とミディが言った。
ミディは少し不機嫌そうになった。
私への印象そんなに悪いのかな、と少し落ち込んでしまった。でも【これ】で少しは悪い印象を挽回させてもらう。
「こ、これなんだけど」
そう言って冷蔵庫から取り出したのは生チョコのケーキ。
「きゃー!!美味しそー!!!」
「おいおい早く食べようぜ!!」
ケーキをテーブルに置くとネグが包丁を持って、私が切るわ!!と、4等分に切ってくれるそうだ。
「俺そのナッツがいっぱいのってるところがいい!!」
「それじゃあ私はホワイトチョコでデコレーションされてるところもらおうかしら!!」
2人には中々の好評だ。
ネグが切っているうちにミディの方に目をやると、ミディは目を見開いてぱちくりさせていた。
「…冷蔵庫にあった、チョコとビスケットと、ナッツでつくったの?」
「う、うん…ネグが偶然かってきてた生クリームとかそれ以外もいっぱい使ったけどね。小口に合うかどうかわからないけど…」
「はい!これミディとミロワの分!!」
ネグが私とミーシィにケーキを渡してくれた。
「と言っても、ガンダのゼリーに勝てるのかな?
「ヴッ…」
ミディはケーキをジッと見つめたあとに1口パクッと食べた。
「ど、…どうかな…?」
「…うん、」
ミディは1口食べたあと、うん。とだけ呟いて手を止めた。口に合わなかったのかな…、?!どうしよう!!ミディとどんどん仲が悪くなっちゃう!!
「あ、あんまり美味しくなかったよね!!ごめんね!!残りは私たちで食べ、」
「いや、美味しいよ。」
「え?」
「だから、美味しいって。」
そのミディの言葉に安心と、緊張感がほぐれたので、また泣いてしまった。
「え、あ、え?なんで泣くのさ!!」
「だって~、!!!」
「ちょっと!!あんたなに泣かせてんのよ!!!!」
「ちがっ!!これは!!」
「お、これこの酒に合うんじゃね?」
と私のケーキをつまみに3人はお酒を飲み始めた。
「あ~!!お酒っめおいしーはねぇ~!!」
あれから数十分後、3人はこれほどかというほどにお酒を流し込んだ。
一応数分前に3人はお酒に酔わないの?大丈夫?と聞いたのだが、3人は
「そんなベロベロになるまで飲まないよ」
「最後の日だけどちょっと気分があがるぐらいしか飲まねえから」
「そんな!!全部開けるわけじゃないから安心してよ~!!」
と余裕をぶっこいていたのだが、
「ネグ、ちょっと、そこのワイン1本あけてよ」
「もお~!!しょうらないわね~!!!」
「最後の日ぐらい飲まねえとなあぁ!」
と全員がベロンベロンに酔っている。
止めた方が良いのかな…でもちょっと怖いな…そう思いながらネグに話しかけようとすると
「もお~ミロワは泣き出すし、2人はめちゃくちゃに酔ってるし、どうなるかと思ったわよ~!!!」
(ネグも呂律が回らないほどに酔ってるよお…)
「ちょっと、ネグ飲み過ぎでしょ!!俺たちの酒ないじゃ~ん」
「なにを~!!というかあんた、よく見たら睫毛ながいわね~」
「そんなのではぐらかせれないよ。僕は」
「う″…うぅーん」
「ガンダ顔赤いなあ。君って顔に出やすいよねえ」
「うるせぇ、」
と3人は他愛もない話をだらだらと続けたあとに、
「やあばい…俺もう眠い、寝るわ」
「あーガンダ寝ちゃった」
「もーガンダはお子ちゃまなんだからぁ…」
ガタッ!!
「え、え?」
とガンダ寝た瞬間3人とも全員寝てしまった。ガタッという音はネグがソファから落ちた音だった。
(みんな寝ちゃったな…)
最初はあんなにしっかり者で、大人びていて、少し意地悪なところもあった3人だが、
寝たら子どもが疲れて眠ってしまったかのように思えた。
(ふふっ)
明日は待ちに待った脱出の日。
私の事情でみんなを付き合わせたのだから最後ぐらい、慣れた場所でゆっくりとお酒を飲んで不安をできるかぎりなくしてほしい。私はそう思った。
そして食器を片付けたあと、3人にブランケットをかけて私も寝ることにした。
「みんな、おやすみ。」
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