第20話 能力をインプット
「あ、えっと、その」
私は切羽詰まってしまった。
彼女に言っても大丈夫か?言って国に報告されて私も、ガンダも、ミーシィも死んでしまったらどうしよう。
そう思い私はその後の言葉が口から出なかった
(ど、どうしよう)
そんなことを思っている間にガンダが言った
「この世界から脱出するんだよ」
「あ、言っちゃった…」
と、小声でボソッと呟いた
「…ハァ!?本当に言ってるの…!?」
ネグは大声で言った。
確かにこんな非現実的なこと言っても信じないことはわかる。
「えぇっと…この…本に…」
本の説明をしようとしたその途端
「あんたたち、あの本のことを信じるの!?」
「え、」
まさかのネグも本のことを知っていた
「あの…本のこと、知ってるんですか?」
「えぇ。知ってるわよ。ほら、最後の方のページに私の名前、書いてるでしょ?」
そう言われて私は本のページをペラペラとめくった。
「ほ、ほんとだ…ネグって書いてある」
「でしょ?と言ってもあんたたち本当に脱出しようと思ってるの…!?」
とネグは続けた
「本当だよ。なにか問題でもあるのかい?」
「あるわよ!!第一、この情報屋の私でも脱出した人の話なんて聞いたことないのよ!?なのに勢いだけで脱出するなんて無理に決まってるじゃない!!」
「それもそうだけど、もう決めたことなんだ。こんな大荷物僕たちの家では保管できないし」
「だとしてもよ!!あんた楽しそうな事には目がないの知ってるけど、流石にこれは…!!」
「先に言っておくけど、僕は反対派なんだよネグ?むしろ賛成派の人はガンダなんだ」
「…え、う、嘘でしょ?」
ネグはとても困惑していた。
(私もガンダが賛成派になったとき困惑したけど、ネグはガンダと付き合いが長いからもっと困惑するんだろうな)
「そうなんだ。実は俺は賛成派なんだよ。ミディは結構反対派の意見出してたよ」
「ガンダ、本当なの?でも、合理性に欠けてるじゃない…」
「確かにそうだね。でも僕は何がなんでも賛成派だ。どれだけ断られようが僕は行くよ」
「で、でも!!」
「行くことを決めたからキミにはここに来てもらったんだネグ。1つ頼みごとがある」
「なに…?」
「キミの能力の″テレポート″を僕にインプットさせてほしい。」
「!!」
ネグと私は目を見開いた。能力をインプット?そんなことできるの?
と、ミディがスッと立ち上がってこう言った
「確かに行くのにはネグの能力は最適かもね。テレポートって便利だし。ネグが良いなら僕はいつでも…」
「ちょ、ちょっと待ってよ!!勝手に話を進めないで!!能力のインプット?ダメに決まってるじゃない!!そもそも…!!」
「ネグ。キミの能力があれば僕たちは生きてここから出られる可能性が高くなるんだ。だから、頼む。この通りだ」
そう言ってガンダは下の方を俯く
「能力をインプットさせるのはできない…!!なにより、能力をインプットさせるのには体力も必要だし、能力に慣れるのに時間がかかる…!!その慣れてない状態で脱出に行かせるのは無理だわ…!!」
「そうか…」
ガンダは少し落ち込んでいるようにも見える
(仕方がないよ。ネグがそう言ってるんだから…)
そう思っているとネグが思いもしないことを発した。
「そ、それなら…私も脱出するのに着いていくわ…!!!」
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