月虹が叶える【Arc魔転生】「生まれ変わっても幸せにすると約束したら自分が悪魔だった?」

桜月・椛(サラ・モミジ)

1-1【月虹】ルナ・アルカンシエル


 【月虹げっこう】__月明かりにより生まれる、夜の虹。

 その七色の円弧アークを見た者は、願いが叶うとされている。


 それは……本当だった・・・・・



    ○  ●  ○  ◎  ○  ●  ○ 



 【生まれ変わっても、君と……】


 よくある恋愛物語ラブストーリーで聞く言葉だが、生まれ変われる保証なんてどこにも無い。


 しかし……。


 「僕と結婚してください」


 一回目・・・の【月虹】


 「生まれ変わっても、君をみつけて、幸せにする」


 森永もりなが 典安のりやすだった頃。

 【月虹】が見える旅行先。


 「そのぐらい、君を愛している。どうかこの誓いゆびわを受け取ってくれますか?」


 一生の思い出。

 彼女である高井たかい あいにプロポーズをした時の出来事だ。


 「……来世しんだあとの私じゃなくて、現世いまの私を幸せにしなさいよ」

 「……えっ?」


 彼女の言葉に一瞬息が止まった。

 うん……確かに、そうだね。ごめん。


 。。。。。。。。。その後。


 なんとか、彼女と無事結婚できたのだが……数年後の話だ。


 「結婚は、人生のゴールではない」


 結論から言うと僕は……。


 「なんで私……。結婚したのかしら……。はぁ……」

 「なんでアンタみたいなのが、アタシの父親なのよ……。マジ最悪……」


 妻に嫌われ、今年高校生になった娘からも嫌われてしまい。


 「典安のりやす……お前とはもう……やっていけないよ」

 「森永もりなが……待っていたのに……さよなら」


 仕事も思い通りにいかず。

 職場の仲間から見放され、信頼だけではなく、仕事まで失い。


 「どうして……こんな事に……」


 自暴自棄を繰り返し。


 「誰か……僕を……光の……元……へ……」


 絵に描いたようなダメな父親で、人生を終えた。



    ○  ●  ○  ◎  ○  ●  ○ 



 そして、二回目・・・の【月虹】


 「僕と結婚してください」


 ユーサ・フォレストとしての第二の人生。

 【異世界転生】先でも、前世の妻と似た女性ディア・リーと出会った。

 【月虹】が見える夜景で、プロポーズをした時の事だ。


 「生まれ変わっても君をみつけた。今度こそ、君を幸せにするから」


 今世はこんどこそバッチリなプロポーズだ。

 そう確信していたのだが……。


 「あの……今度こそ・・・・って何ですか?」

 「……えっ?」

 「誰か……私じゃない、別の女性の話をしていませんか?」 

 「……えっ?」


 その後。

 二股だ、浮気だ、遊びだ、とか。

 何悶着あったのやら。

 生まれ変わってもどこか間の抜けたプロポーズになってしまった。


 。。。。。。。。。。。それから数年が経ち。


 【月虹】を見た【僕の願い】は……。


 「あなた、いつもありがとう。愛してるわ」

 「パパー! だいすきだよー!!」


 前世とは違い。

 妻と娘に愛される幸せな家庭を築きたかった【僕の願い】は、叶った。


 仕事の方も。

 前世の反省点を生かし、上手くいっていた。


 「我らのウィーシュッ!! ユーサっさん!!」

 「ユーサのアニキィー!! 待ってましたよぉー!!」


 自分の住む都市でも、五本の指に入る有名なギルドのエースになり。

 職場では信頼され、人間関係にも恵まれた。


 「僕は……ライトノベルのような、夢物語の主人公のように……!!」


 浮かれていた。


 「【異世界転生】で、幸せになれたんだ……!!」


 そんな風に、喜んでいた。

 

 まるで生まれ変わった先が、【天国】のような、第二の人生だった。



    ○  ●  ○  ◎  ○  ●  ○ 



 そして、三回目・・・の【月虹】は。


 「ユーサ・フォレスト。君は達の破壊神はかいしんデスト・L・アークシオン様の封印を解く為の条件である生贄いけにえ……人間の姿をした特殊な悪魔・・・・・だったのだよ」



 自分は、人間ではない。

 人間の姿をした悪魔・・である事を知った、絶望の日。


 「ユーサ・フォレスト。

  いや、森永もりなが 典安のりやす

  君の幸せな【異世界転生】は、ココで終わりだ。

  さぁ 安 ら か に 眠 り た ま え 」


 お別れの言葉しのせんこくを発する『天使達』に囲まれながら。


 【月虹】を見た僕が、祈った願いは……。



    ○  ●  ○  ◎  ○  ●  ○ 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る