Expansion story

意識が……戻ってきた…………。

暗い寝室。時計の針が動く音だけが響く。

「…ウッ、ん〜」

今日も目が覚めてしまった。まだ夜中の2時を回ったところだ。静かな寝息が聞こえる。視線を右に写すと優次はスヤスヤと目を閉じたまま寝ていた。

「フッ」

相変わらずガキみてぇにかわいい奴だな。ゆっくりと優次が起きないように身体をベットから横に離れる。足が床につく。

「冷たっ!」

カーペットを敷いているのにこの床の冷たさ。そっか、昨日は初雪だったか。もう冬の到来か。暗闇の中、リビングへ向かう。身体が覚えているのか方向感覚は見失わない。冷蔵庫を開けて明るい棚の中にあるリンゴジュースの缶を取り出す。そのまま立ち飲み、缶とペットボトル専用のゴミ箱に捨てる。

『カランカラン』

ヤベッ、起こしちまったか?立ったまま寝室へ目を向ける。だがゆっくり繰り返したままの寝息だけが薄ら聞こえる。どうやら優次は起きていないようだ。

「ふぅー。寝るか。」

安心したのも束の間。刹那、声が聞こえた。

『渚』

「っ!!」

優次の声じゃない!その声は聴き慣れた華奢な響きを備えていた。瞬間、背中から汗が滲む。アタシは悟った。

奴がまた現れたのだと。

マズいマズいマズいマズい!!また呑まれてたまるかよ。

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