転生~幼年期 第2話

2.鑑定の訓練


(『鑑定』)

〈ピコン〉

〈経験値が規定値に到達しました。レベルが上がりました〉


鑑定結果

綿の布団


下腹?丹田?の辺りから暖かな何かが湧き上がり、体中に行き渡る。(これがレベルアップ時の現象?『鑑定』を使うと経験値がカウントされる?レベルのある世界なのか?まあいいか)


(『鑑定』)


鑑定結果

綿の布団


俺はもう一度『鑑定』なるものを使ってみた。『鑑定』対象を見据えて心の中で念じるだけで使えた。2度目はレベルは上がらなかったようだ。


俺は畳敷と思しき和室に敷かれた布団の中で横になっている。もとい、寝かされている。もっと別のものに『鑑定』を使ってみたいのだがなんせお宮参りに行くくらいの生後1~2か月の体では目の前の物しか見ることができない。ぼやけて見える天井に『鑑定』をかけたが結果は出ず。何が違うのだろうか。


(『鑑定』)


鑑定結果

綿の布団


(『鑑定』)


鑑定結果

綿の布団


4回目の鑑定結果が出たと同時に昨日同様、強烈な眠気に襲われ、俺は意識を手放した。


目覚めると、俺のすぐそばに姉のナオが座っていて、俺の耳たぶを優しくもみもみしていた。心地いい様な、耳たぶがじんじんして痛痒い。(気持ちは……悪くないのか?) 今の俺に拒否権はない、されるがままだ。だけどこのままでは俺の耳が格闘家仕様になっちゃうんでは?ならば、作戦Aだ。


目覚めとともに猛烈な空腹感を感じていたので、耐えがたい空腹を本能の赴くままに佩き出した。作戦A、『大泣き』だ。

「おぎゃぁー、おぎゃぁー、おぎゃぁー……」

「お母さ~ん、シンバが起きて泣き出した~おなかへったのかな~」

「はいはーい。シンバお腹がすいたのね。すぐにおっぱいあげるわよ。ナオ、ちょっとシンバを預かるわね。」

母親と思われる女性がすぐにおれのもとにやってきて授乳体制に入った。俺の耳たぶはナオ姉の攻撃から回避することが出来た。


(『鑑定』)


〈ピコン〉

〈経験値が規定値に到達しました。レベルが上がりました〉


鑑定結果

イスリ(22)人族 女


暖かな何かが湧き上がり、体中に行き渡る。思わず母乳を噴出した。

「ぶふぉ」

「あらあらー。慌ててしまったのね。おっぱいは逃げないからゆっくりのむんでちゅよ」

「シンバ、落ち着いて。後でナオがヨチヨチしてあげるから、今はおっぱいたくさん飲みなさい」


(なんたる不覚。おっぱいを噴出しちゃったよ。またレベルが上がったぞ。こんなに簡単でいいのか?レベルアップ。それにしても俺のお姉さん?ナオは俺にご執心のようだ。耳たぶが心配だ。格闘技選手のような耳にはなりたくないしな)


「お腹いっぱいかな?トントンしておしめ変えてからおねんねだね。」

トントン トントン

「ケプッ」


俺は定位置へと寝かされたあと、『鑑定』連打と意識の手放し、空腹での大泣き、おっぱい、トントンケフッおしめ交換の無限ループを続けるのであった。当然、持ちの論でナオ姉からの耳たぶ攻撃は容赦なく続いた。


継続は力なり、半年もたつと10回くらい連続して『鑑定』を使えるようになった。成長してる、と思うことにした。おそらく使いすぎると眠くなるのは魔力切れの影響だろうと推測している。頻繁に魔力切れを起こすと寿命が縮むような仕様だと恐ろしいことになりそうだが、魔力切れの症状が眠くなるだけで苦痛はない。あまり心配はしてない。使える回数も増えているので悪いことはないだろう。



平成の営業マンはできることからまずやるんだ。まずはおっぱいからのケプッだね。


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