第29話 宝剣を掲げて王宮に向かいました
「エド!」
私はエドを抱き止めた。
「ちょっと、あなた達、これは反逆罪よね」
私は叫んでいた。
「殿下、大丈夫ですか?」
私は慌てた振りをする。
しかし、そもそも私は障壁を張っているのだ。矢が突き抜ける訳はない。矢はエドの目の前で止まっており、アドは矢を受けた振りをしただけだ。
抱き締めたら、エドの手が私の胸に触れた。
こいつ、何をどさくさに紛れて触ってくれるのだ。
おもいっきり、エドの足を踏んでやった。
「ギャー」
エドが悲鳴をあげる。
「大変、大丈夫ですか?殿下」
「お前な!」
「余計なところを触るからでしょ」
怒り顔のエドを小声で睨み付ける。
しかし、私の心の中は歓喜に震えていた。
王子への攻撃は反逆罪だ。
これで全力で雷撃が出来る。久しぶりだ。
私は武者震いした。
「いや、我々はやっていないぞ」
兵士達は慌てて叫びだしたんだけど。
えっ! ここは、こうなったら残った奴らもまとめて始末してやるって叫び出すところではないのか?
そして、あろうことか、兵士達は剣を投げ出したんだけど。
「おい、何をやっているんだ! 今さら剣を引いても反逆罪は無くならないぞ」
ヴァーナスが叫んでいるんだけど……
まあ、それはそうなんだけど、さすがに、剣を投げ出した奴らには攻撃できないじゃない!
私はがっかりした。
そこにまた、弓矢が飛んできたのだ。
「しつこい!」
私はその方向に雷撃をしたのだった。
「ギャー」
閃光が走り、木に登っていた兵士が悲鳴を上げて、落ちた。
それを見て、ヴァーナスが悲鳴を上げて、剣を取り落としてくれたんだけど。
えっ、ちょっと待って!
何で、剣を取り落とすのよ!
拾いなさいよ!
私の叫びにかかわらず、ヴァーナスは降伏してくれて私はそれ以上戦えなかったのだ。
私は直ちに弟を呼び出した。
近くに待機していた弟が実家の騎士団を率いて飛んできてくれた。
そして、ヴァーナスが集めた兵士たち100名を拘束してくれた。
その中には我が侯爵家を首になった騎士たちも多くいたのだ。
「で、姉上。これからどうするんですか? 王宮に呼ばれているんでしょ」
「そうだ。ジャンヌ。すぐに王宮に行かないと」
弟とエドが言ってくれるんだけど……
私は
「ツン」
メリーに抱かれた寝顔が可愛い可愛い天使な息子のシャルルちゃんのほっぺをつついていたのだ。
「ちょっと姉上」
「ジャンヌ」
なんか外野は煩いけれど、私はシャルルさえいれば後はどうでも良い。
「ツン」
もう一度天使な息子のシャルルちゃんのほっぺをつつく。
シャルルちゃんが目を瞑ったまま首を振るんだけど。
「かわゆい」
私は眦を下げて、シャルルちゃんを見る。
「ジャンヌ様」
メリーが私に注意してきたが、
「ツンツン」私は我慢ができずにもう一度つついた時だ。
「オンギャーーオンギャーー」
我慢しきれなくなってシャルルが泣き出したのだった。
「ああ、ごめんごめん」
私は慌ててメリーからシャルルを受け取るとあやし出したのだ。
「姉上」
「お前な」
弟とエドが呆れていた。
「で、姉上、どうするんですか?」
弟が聞いてきた。
「というか、ジャンヌ、早くしてくれよ」
エドが急かしてきた。
「そうね。行くわよ」
私は一応皆に宣言したのだ。
「行くって、姉上その格好でですか?」
弟は私の戦闘服を見て指摘してきた。
「当然よ。今のあなた達の尋問聞いていたら、今回は側妃のみならず、近衛騎士団長と財務卿も絡んでいるそうじゃない。そんな奴らを許しておくわけには行かないわ。全員一網打尽にするわよ」
私があやしている間に弟のブライアン等は尋問してくれたのだ。その結果側妃とその父親の財務卿、そして、近衛騎士団長が絡んでいるのか判明した。
「しかし、姉上。完全な証拠がないよ。あくまでもコイツラの証言だけでは」
弟は問題点を言ってくれるんだけど。
「ふんっ、そんな物。私が黒って言ったら黒なのよ」
私は平然と言い切ったのだ。
「いや、ジャンヌ、いくらお前でもそれは無理だろう」
エドが否定してくれたし、
「そうですよ。姉上。そんなの通る訳ありません」
ブライアンまで言うんだけど。
「煩いわね。本当に。嫌なら、ここで待っていなさい」
私はそう言うと騎士たちを見た。
我がウェリントン伯爵家は建国以来武の一門。当然騎士たちも一騎当千の強者たちだ。
「者ども準備は良いか!」
私はそういうや、我が一門に伝わる宝剣、エクスカリバーを鞘から抜いたのだ。
宝剣はピカッと周り一面明るくなるほど光った。
さすが我がウェリントン家に初代国王陛下から下賜された宝剣。
「あ、姉上、その剣は」
慌てる弟のに
「ちょっと待て、ジャンヌ、お前なんでその剣を持っているんだよ」
エドも慌てるだけど、今更なのだ。
「今こそ、この王国に仇名す、側妃ら反乱分子を討伐する。全軍我に続け」
「「「オウ」」」
私の声に一同喚声をあげてくれたのだ。
そして私は一軍を率いて王宮に向かったのだ。
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