猫、貸します

東 里胡

老婆と猫たち

 川沿いの道端に、昨日まではなかった赤い布が風にそよいでいた。

 遠目から見たら、ノボリのようにはためいていた薄汚れた布には【猫、貸します】の文字。

 その前には物乞いのようなみすぼらしい着物の老婆が茣蓙ござに座り、横には小さな木箱の中に子猫が五匹。

 ぶちやら、白いのやら黒いのやら、三毛のやせ細った猫が箱の中で身を寄せ合っている。

 にゃあにゃあと、各々がじゃれあったり、眠っていたり、愛くるしい姿を見せていた。



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