七章 六点リーダー

〔後の先:否定文〕

経子は町内の離れた場所にいた。北区画の下屋敷から、西区画の部屋までは、三つの木戸に遮られていた。氾濫が発覚してから、木戸はとじていた。封鎖されたあとの突破は不可能だと再確認した。

〔間四件の一:観察文〕

西区画は蛇崩町の発展と同時に、横へとのびていた。平民の暮らす長屋が中心になっている。大通りとくらべて、治安はよくなさそうだった。

〔間四件の二:状況文〕

別府はアリバイを崩すことに腐心する。経子が凶器を直接的に町の外に運んだのではなく、風呂敷ごと濁流に流したと推理した。そうすれば、時間を短縮できるのである。

〔間四件の三:状況文〕

別府はさらに、殺害と移動の時間を短縮する推理を披露した。佐々木に菊太郎と昌村を殺させ、最後に経子がその佐々木を殺したのである。これで経子の犯行は可能にかわるが、未堂棟の示唆急文と瑞木の登場によって、前提からくつがえされる。

〔間四件の四:移動文〕

別府は現状、経子のアリバイを崩せないことを認める。経子と瑞木とわかれた。蛇崩町の西区画から宿駅のほうへと向かった。政信のいる門前町へと向かうことにした。

〔先の後:仮説〕

別府は蛇崩町までの道を馬によって、短縮できると考えていた。この推理が正しければ、作間政信の犯行が可能になる。

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