蓬 佑文

1 寂

何故、私は生きているのだろう。

誰にも必要とされない。孤独だ。

嗚呼、悲しい。彼に必要とされたい。

欲を言えば彼に愛されたい。

いや、心から愛してもらいたい。

そうだ私は愛情に飢えているんだ。

今までの恋人は片思い。

本気じゃないんだ。

椿の花のように赤く二人が染まる恋がしたい。

そして、椿の花と共に彼と死を共にしたい。

同じ場所、同じ空気、

同じ生活、同じ死に方

全てを彼と共にしたい。

そして彼にこの事を伝えるとこう思うだろう。

「気持ち悪い」

と。

自分でも何故こんな事を考えているのか障害を疑う。

でもきっとこれが私なんだ。

彼はきっと愛の重い人は苦手だろう。


今宵は十六歳。

これから先も彼とは結ばれない。

私は彼を探している。

いないと分かっていても探している。

命を散らず女で遊んでいるだろう。

あの人は相対死を好む。

一緒に消えた彼女が率直に羨ましい。

1度でもいいから彼とお話がしたかった。

この醜い全身でも彼が許せるなら、

彼と死ぬ気で恋愛がしたかった。



六月十三日

彼が三十八という若さでこの世にいなくなり



六月十九日

彼が見つかりました


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蓬 佑文 @sukefumi

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