僕がメイド長。〜異世界最強を口説き集めた女装メイド、史上最強のメイド軍団を結成する〜
大石或和
一章
1話 メイドって素敵だよね
僕はメイドが好きだ。
特にヴィクトリアンメイド服は最高だ。
あの丈の長いスカートに、胸元が一切晒されていない鉄壁の守り。そして何より、白と黒を基調としたシンプルな作りが素晴らしい。
では、何処が素晴らしいのかを今から解説していこうと思う。ちなみにこれは個人の見解なので、個人差は勿論あるだろう。
ではまず、スカート丈についてだ。
ヴィクトリアンメイド服の特徴として、スカート丈が長い。パンチラすることもなければ、なんなら殆どタイツすら見えない。でもそこが素晴らしいのだ。あのスカートの中は、何を履いてるとかが分からないので普通にエロい。
あと、単純に好きなメイドの内面的なものを他人に晒されないというのも利点の一つだろう。独り占めできるって最高だよね。
次に、胸元が晒されていないという点だ。
ヴィクトリアンメイド服はまず露出が少ない。古来から愛用されている作りであると言ったらそれまでだが、見方を変えてみてほしい。その方がエロいし可愛いと。
普通に胸元が晒されていたら、それはただのエロスだ。そんなの一目見ただけで分かってしまう。
けれど、ヴィクトリアンメイド服はどうだろうか。一見すると鉄壁の守りが成され、その人の防御の高さが見受けられる。だが、動作が合わさる事で、例えアレが封印されていたとしてもエロく見えるのだ。だから、わざわざ胸元を晒す必要はない。
次にヴィクトリアンメイド服を着ている人だけれど、うーんそうだな、まずは髪から。
基本的に白と黒で構成されているので、何色でも似合うのだ。ほら、最高だろう?
黒髪もいいよな。それでショート、ロング……普通に降ろしているだけで魅力的に感じる。例えばあの、少し前のめりになった時に髪を耳に掛ける素振り。あれで耳見えるのとか最高じゃない?その時にピアス開いてたりするメイドもいいなぁ。
話を戻そう。うん、正直にいうなら、僕は白髪と黒髪のメイドが好きだ。白は色素が落ちたものではなく、意図的に染められているのがすきだ。いや結局色は落としてんだけどさ。
黒い服に白い髪が流れているの、本当に最高なんだ。一回だけコスプレで実物を見たことがあるんだけれど、あれは素晴らしかった。芸術的だった。人間国宝にしよう。
えー、じゃあ最後に着ている人自体についてだ。
基本的には大人びた女性から、まだ大人になりきれていない女の子まで、全て魅力的に見えるのだ。だからここに制限はない。無限大の可能性を秘めているからね。
まぁ、こんな感じで一旦やめておこう。
どれだけ語ったところで、この世界に本物はいない。結局はコスプレで終わってしまうんだ。
僕はこの世界に絶望していた。
そんな僕が編み出した結論は、異世界目指して交差点に身投げすればいいって事だ。
その時のポイントだが、取り敢えずメイド服を着用し、ウィッグを被る事。こうする事で女装にはなるが、メイドに対する熱い気持ちが表せるだろう。
着替えたらならば即出立。
僕は一目散に家を飛び出し、近所にある線路まで一直線に駆け出した。
もうこれしかない。僕がメイドさんと会うためには、メイドさんに甘やかして貰うためには!!!!これしかないんだ!!
左から聞こえてくる列車の音が、だんだん近づいて来ている気がする。
この機を逃したら、数分は待つことになる。
そんな事態になれば、僕は躊躇いを持ってしまうかもしれない。だから、やるなら今しかない。
最大の情熱を持って、最大の愛を掲げ、僕は名誉ある死を選んだ。
僕は高く飛び立ち、線路に身投げした。と同時に激しく響き渡る轟音、体に伝わる鈍い感触。
そして──────────
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