第134話 進路

 私の息子は高校で野球部に所属している。

 その子がなんと、六位ながら、プロ野球のドラフトで指名された。

 私と妻は、運動神経は悪くないけれども、野球には無知だ。

 野球好きならばきっと手放しで喜ぶのだろうが、冷静な私は、息子に言った。

「そんなに甘くないぞ。やめておいたほうが……」

 すると、妻が私に耳打ちをしてきた。

「契約金で数千万円もらえるみたいよ」

「な……」

 私はコホンとせき払いをした。

「若いんだから、じゃんじゃん夢を追え!」

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