第93話 手探り

 青実高校のラグビー部は、できたてホヤホヤである。

 練習中、メンバー同士の衝突によって、一人の部員が伸びてしまった。

「あれ? こういう場合、ヤカンの水を顔にかけて起こすんじゃなかったっけ?」

「ああ、たしかそうだ」

「でも、ヤカンがねえぞ」

「じゃあ、これは?」

「仕方ない。それでいいだろう」

 そうして、なぜかあった急須に水を入れて顔にかけた。

 目を覚ました部員は、体を起こして叫んだ。

「俺は湯のみか!」

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