第92話 別れ?

「潮時かもしれないな」

 僕は袋小路夢太郎先生の助手になってずいぶん経つ。しかし、先生は繊細で大変だ。

 もう探偵は無理じゃないか、だから僕も別の職に就くべきでは、と思い、先生を訪ねた。

「先生……ん? 部屋の中から声が」

「バレバレだっつーの。バレバレだっつーの」

「先生……」

 今のは先生が犯人を追い詰めた際の決め台詞だ。まだやる気はあるんだと、うるっときた。

「あれ? 末広刈くん、何か用かい?」

「いえ……先生、その決め台詞、前から思ってましたけど、ちょっとかっこ悪いっすねえ」

 すると、先生はショックで寝込んでしまった。やっぱり別の仕事を探すべきなようだ。

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