第74話 やる気

「え? どうしたの?」

 私の兄は現在二十歳。

 頭がいいから大学生にはなれたけど、私は兄がやる気になったところを見たことがない。

 それが、ある日家に帰ると、テキパキ家事をこなし、真剣に新聞を読むではないか。

「いや、実は……」

 なんでも、立ち寄ったコンビニの女性店員に一目ボレしたためという。

 恋の力ってすごいと思った。ところが翌日、元に戻ってしまった。

「だって……」

 またコンビニに赴いたところ、その店員さんの薬指に指輪がしてあったそうだ。

 やる気が目覚めるまで二十年かかったのに、終わるまではたったの一日だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る