第11話 こんなわけはないけれど

「皇子、ご相談が」

「何だ?」

「『中大兄皇子』は読みづらいので、『中野大江戸皇子』に改名されてはいかがでしょう?」

「えー、なんか嫌だな、それ」

「でも、間違えられないほうがよろしいでしょう?」

「そんなこと言うなら、お前の『中臣鎌足』も読みにくくない?」

「そうですね。では私、改名いたします」

 そうして中臣鎌足は、藤原鎌足になった。

 それを聞いて、中大兄皇子はつぶやいた。

「いや、『鎌足』のほうも読みづらいと思うんだけど」

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