第七話 Aランク迷宮間引き配信


 Aランク迷宮、《ネガ・ヨトゥンヘイム》。

 日本に3つ存在するAランク迷宮の1つ。骨まで凍てつく寒風が吹きすさぶ巨人のねぐら。日本最大の霊山である富士を取り巻く無数の風穴を依り代に顕現した広大なる地下空間である。

 攻略を試みた無謀な挑戦者達を何人も飲み込んだ魔窟の地下25階層。

 洞窟でありながら東京ドームじみた広さを備えた地下空間に――


:デカい! 強い! なのに速い!

:超広い洞窟のはずなのに巨人がごった返してるせいでそう見えない不具合。

:だけど大和君も全部避けてるぞ!


 戦いの嵐、暴力の嵐が吹き荒れる。

 見上げるばかりの巨躯、巌と氷を混ぜたような色合いのゴツゴツとした肌、雪のように白い蓬髪、粗末な衣に身を包んだ巨人種――霜の巨人ヨトゥンだ。

《ネガ・ヨトゥンヘイム》の住人たる霜の巨人の群勢が侵入者である小さき者を容赦なく追い込んでいた。


:徐々に追い込まれてね?

:まるで弁慶と牛若丸だな。ただし弁慶側は十倍デカくて数十人いるものとする。

:牛若丸でも流石にキレる数の暴力。

:と、思うじゃん?


「アッハッハッハッ! 遊園地みたいでワクワクしますね! 超☆スリリング!!」


:巨人の波状攻撃を燕みたく潜り抜けながら笑ってる!

:超楽しそう。あ、股の間を飛び跳ねて抜けやがった。

:アトラクションを満喫してやがる。ここがAランク迷宮だって忘れてない?

:このままいけるか!?

:いや、囲まれた。流石に逃げられん!

:槍のフルスイング! 直撃コースだぞ!?


「よい――しょっと!」


 †《建速嵐タケハヤノアラシ》†《属性権能:風》†《風の縛鎖》†


:出た、《建速嵐》!

:風系統最上位スキル。黒鉄大和の十八番よ。

:なんだあれ。巨人が金縛り受けたみたいに停止してすっ転んだぞ!

:単純な風の圧力で巨人を拘束するとか相変わらず出力がぶっ飛んでんな。


 †《剣術 (中級)》†《剛剣》†《斬撃延長》†《一の太刀》†


:あ、そのまま横に一閃。

:ちょっとしたビル並みの巨体を胴体で輪切りか。エグい。

:流れるようなスキルコネクト。惚れ惚れしちゃうね。

:動作にスキル乗せるのって地味に難しいんだよね……。お見事。


「うん、ようやく調子が戻ってきたかな」


:しかもこれで試運転か(白目)

:本気、なんだろうなぁ。

:やっぱ遠すぎる頂だわ。

:大和君が巨人どもから一足で距離を取った。何かやる気だな。


「このまま一発本気でぶち込みます。配信酔いにご注意をー」


:うえ、マジか。

:本気になると撮影ドローンまで気遣えんから致し方なし。

:総員対ショック体勢――!! 自信ない奴は画面見るなよ!

:一言注意してからブッパとかまだ余裕あるなー。


 †《剣術 (中級)》†《踏み鳴り》†《薙ぎ払い》†《建速嵐タケハヤノアラシ》†《属性権能:風》†《暴風拡散》――――


:来るか、必殺技コンボ

:今日は大盤振る舞いだな!

:強く踏み込んでの薙ぎ払い! 《建速嵐》でブースト! イコール超大規模衝撃波!

:要はスペックによる暴力で上から殴りつける全力ブッパ。

:シンプルイズベスト!


 †《コンボ:天津神風》†


:すっげえ風!

:これが黒鉄大和の必殺技コンボ。対集団用の切り札か。

:ンゴゴゴゴ、視界が揺れて気持ち悪い……。

:音も轟々響いてヤベー! 台風並み。

:もうギャグだろこれ。

:感覚としてはビルをまとめて吹き飛ばす規模の極小台風みたいなもんか? 瞬間風速分からんけど。

:ヒューマノイドタイフーン (物理)

:個人で台風起こせるならそりゃ人間台風と呼ばれるわな。


「とりあえず目に付いたのは片っ端からぶっ飛ばしましたが――」


:コンボ食らった連中が消滅してくのはいいとして。なんでちっとも数が減ったように見えないんですかね???

:ボスも健在だしな。片腕もげてるが。

:しかも再生中かよ。クソボスめ。

:奥のフロアボスが眷属招集スキル持ちだな。しかもボス補正で強化されてるタイプか。殺せ (殺意)

:モンスターの無限生産ユニット。見かけたら一秒でも早く狩れ (現役冒険者並感)

:うお、ほんとだ。何もないところから巨人が何体も出現……いや物理法則おかしくね?


 視聴者ライバーズが語る通りボスのヨトゥン・エリートのそば、何もない空間からやや体格と装備に劣る霜の巨人ヨトゥンが何体も現れる。

 己が従える眷属を多数呼び出す眷属招集スキルがもたらす異常な光景だった。


:物理法則とかまた今更な発言を。

:上位迷宮の深層ほど物理法則無視してくるからな。

:モンスターもモンスターで頭おかしいわ。


「代わりの解説どーもです。やっぱりあのボスを仕留めないと鼬ごっこですね」


:余裕そう。手はあるの?

:定石なら2チームで対応。片方が眷属抑えてる間にもう片方がボス討伐なんだが。

:ショタ、総勢1名参陣!

:無理では(真顔)


「手はあります。そもそも僕は1人じゃないですしね、みそP?」


:弟に頼まれたなら仕方ない。お姉ちゃんだから@みそP

:姉貴面1名参陣! (なおドローン越し)

:迷宮に来てすらいねぇんだが?

:引き篭もりを極め部屋から迷宮攻略を可能にした女。多分今も部屋でポテチ食ってる。

:え、それでどうやってサポートするの?

:これから見られるぞ。


 †《眷属契約:八咫烏》†《遠隔召喚》†《あまねく照らす大眼おおまなこ》†


:なんだ、魔法陣?からなんか出てきた!? カラスか!? 超デケェ!? あとなんか燃えてる!? 熱くないの!?

:なんか変わった形の魔法陣だな。鏡? 太陽? あ、最後に輝いてから消えた。

:お前初見か? みそPのパシリこと八咫烏君だぞ。

:なおこの二人除く最上位冒険者より強い。ナメた口利くのはほどほどにな。

:眷属契約スキルは眷属招集とはちょい違って呼び出せるのは1体だけだがその分強くて頭がいいからな。

:流石みそPだぜ。名前はふざけてる癖に死ぬほど優秀なサポーター。

:黒鉄大和のバディ張ってるだけはあるんだよなぁ。


「今日もよろしく、ヤッくん!」

「カアァ……」


:八咫烏君すげえ微妙そうな顔で鳴いてる。

:微妙にネーミングセンスないんだよなこのショタ。


「は? 友達からはネーミングセンス100点満点と言われてましたが? 誹謗中傷止めて頂けます?」


:寝言吐いてないで起きろ@みそP

:怒られてやんのwww


「クソッ、なんで僕は敵とライバーズ相手に二正面作戦やってるんでしょうかね!?」


:焦ってて草。

:ライバーズからデバフかけられてて草。

:それでも戦いそのものは余裕なの大草原。

:敵が可哀そう。

:情報抜いた。いま表示する@みそP


「おっ、流石に”眼”が早いですね!」


:《あまねく照らす大眼おおまなこ》。情報解析系統の最上位スキル。こっちもヤベェ (確信)

:一目で敵の情報あっさり抜くのヤバくない??? 霞ミルのアナライズはもっと時間かかるんだが。

:ミルちゃんを下げるつもりはないがみそPが完全上位互換なのは事実だから。

:負けてるのは愛嬌とか人間性。

:おい、ミルちゃんって迷宮攻略支援AIだろ。

:負けちゃダメな部分で負けてんじゃねえかwww


 【基礎データ】

 種族:ヨトゥン・エリート

 位階:70

 【スキル】

 《階層主》

 《霜の巨人》

 《エリート》

 《槍術 (中級)》

 《眷属招集:ヨトゥン・ソルジャー》

 《軍団指揮》

 【耐性】

 耐性:物理、土、水

 弱点:火


「おお、不器用な巨人種で槍術 (中級)は凄いですね! 流石エリート。耐性は見た目通りのプレーンなタイプか」


:Lv.70!? くそ強ぇ!

:Aランク迷宮とはいえこれで25階層か。気が遠くなるわ。

:思ったよりスキルが少ない件。


「スキルが少ないからって侮っちゃダメですよー。アレほとんど複合スキルですし見かけ以上のスキル持ちと思ってください」


:複合スキル?

:言葉通り複数のスキルを含有する上位互換スキルだよ。

:例えば剣術(中級)は剣術に関わるスキルを中級程度の水準まで扱えて、強打とか見切りとかを含んでる。

:眷属体の方もデータ送るよ@みそP


 【基礎データ】

 種族:ヨトゥン・ソルジャー

 位階:50

 【スキル】

 《眷属体》

 《霜の巨人》

 《槍術 (初級)》

 《集団行動》

 【耐性】

 耐性:物理、土、水

 弱点:火


:こっちはLv.50か。スキルも簡素だな。……いや、それでもクソ強いんですけど!?

:Lv.50台あれば十分に冒険者トップ層だからなー。例外もいるが。

:大和君にあっさり斬り捨てられるカカシに見えるけど実際は一体一体が国家滅亡級の災厄だぞ。笑えないぞ。

:どうするよ?


「単純に行きましょう。ブッパで数減らしてから斬り込んでボスの首を取る。以上!」


:単純というか力押しの脳筋戦法では?

:笑顔で言ってるけど蛮族かな?

:見かけはショタだが頭の中身は割とゴリラだぞこいつ。


「失礼な。レベルを上げて上から殴る。最強に頭のいい戦法でしょうが!」


:本気で言ってるっぽいのに乾いた笑いが……。

:つまりこの状況でも余裕ってことですかね???

:二重の意味で「何言ってんだこいつ?」ってなる不具合。

:あ。

:おい、向こうが先に動くぞ!


ッ――――!!」


 †《霜の巨人》†《怪力》†《属性権限:氷》†《槍術(中級)》†《薙ぎ払い》†《軍団指揮》†《眷属連携》――――


:うるせえええぇぇっ!

:はくりょくやばい。


 †《コンボ:大寒波》†


:うおっ、今度は向こうがブッパしてきた。

:しかも眷属連中と力を合わせて――規模ヤバいぞマジで大丈夫か!?

:雪崩……いや、氷の津波か!?

:これ逃げられないだろっ!

:そもそも逃げる必要ある?@みそP


「ヤッくん、防御よろしく!」

「カアアアアアアアアアァァァッ!!」


:うおっ、眩しっ。

:ヤッくんと黒鉄が輝いた!

:デカいカラスが燃えて……いや、めっちゃ光ってる!? 超デケェ光る翼が大和君を覆ってガード!!


 †《八咫烏》†《属性権限:光》†《八咫の光翼》


:火、じゃないな。光の方か。

:弱点属性を避けたな。

:コメント欄に有識者大杉てこっちが置いてけ堀問題。


:――来るぞっ!!


:津波に飲み込まれたッ!

:あああドキドキするぅ……。

:見かけ雪崩に飲み込まれた登山者にしか見えんかったからめっちゃ不安になる。


:大丈夫、だよな……。


:通り過ぎた後も氷に飲み込まれたまま氷河みたくなってる……。

:一面氷の世界か。これがLv.70台の力。

:こっちも大概だがモンスターも天災クラスなんだよなぁ。

:もう津波が収まって10秒は経ったぞ。本当に無事なのか!?


:うちのはあの程度でやられるような可愛げないよ?@みそP


:後方腕組み姉貴面院!?

:姉を名乗る不審者の癖になんでこんなに頼もしいんだ。

:でもまだ出てこないし。

:いや――、

:なんか一か所だけめっちゃモワモワしてね? 水蒸気?

:分かるだろ。火で氷を溶かしてるんだよ!


「カアアアアアアアアアァァァ――――!!」

「オラッ、八咫烏様のお通りだ! 道を開けろ!」


:でっかい氷が上に吹き飛んだ!

:氷河の中から大和君が飛び出してきたぞ! 八咫烏も!

:生還! 黒鉄大和生還! なおセリフ。

:楽しそうにチンピラムーブしてやがる。

:自分の数十倍はある氷塊蹴飛ばしてるところ以外はちょっと可愛いかもしれない。


「ただいま」

:おかえり@みそP


:この熟練の相棒感よ。

:姉だが?@みそP

:姉貴面はさておいて無傷は凄いな。普段の学生服にマント一枚追加しただけだろ?

:いや、大和君の装備は採算度外視で作ってるから見かけ通りの性能じゃないぞ。


「蛇狐君に作ってもらった装備ですね。今回は氷耐性を付与してもらってます」


:クソ雑魚の癖に生産職を極めたチート職人。

:器用さのパラメーターがカンストしてる男。

:耐性を自由に付け替え可能でマントそのものも頑丈。しかも伸縮自在で操作可能というチートアイテム。

:全冒険者垂涎の代物なんだが。くれ(迫真)

:まず素材を持ってきぃ。それが出来る奴なら手間賃は勉強したるわ。無理やろうけどwww@仙道蛇狐

:なんかいた。

:わざわざ煽りに浮かぶな雑魚ぉ!

:耐性ってなに?


「お、ご新規さんですか? 迷宮攻略って基本相性ゲーなんですよ。だから耐性と属性が重要なんですね」


:分かったような分からんような。

:まず自分や敵、それに攻撃と防御にも属性があると覚えろ。その上で弱点と耐性がある。

:弱点属性の攻撃受けるとダメージ二倍、耐性ある属性の攻撃ならダメージ半減。

:相性不利の敵はよほど格下でもなければ素直に逃げろ。

:逆に冒険者は敵にメタ張るのが基本。

:あとは冒険者向けの基礎教本だな。陰陽五行理論が基本だからそれ頭に入れてから読め。

:まああくまで基本でしかない訳だが……。


 木・火・土・金・水の五属性、光・闇の二属性を組み合わせた七つの基本属性。そこからさらに派生した発展属性の存在。各属性が互いに強め合い、打ち消し合う相剋・相生の理。

 とはいえこの世界における属性のシステムはライバーズが詳しい説明を教本へ譲る程度には複雑だ。故に今は単純に弱点を突けば優位を取れ、逆をされれば不利となるとだけ覚えておけばいいだろうと大和は締めた。


「そろそろこっちからも反撃行きますか。丁度火属性が弱点ですし、遠慮なく突かせてもらいましょう」

:分かった@みそP


ッ――――!!」


:向こうも眷属を嗾けてきたか。

:お怒りだな。

:うるせえ!

:結構全力っぽかったのをあっさり凌いだからな。

:反撃だ!


「ヤッくん、みそP。合わせて!」

「カアアァ」

:りょ@みそP


 †《属性権能:風》† × †《属性権限:火》――――――――


:風が火を飲み込んでデカくなってく……。

:だけじゃない。竜巻にまで成長してるぞ。

:ダメ押し@みそP


 †《太陽の加護》†《眷属強化》†

 

:竜巻が超バーニングしてる!

:出るか、連携戦技!


 †《連携戦技:超火炎旋風》†


:五行相生! 木行の風は火の勢いを強める!

:元々相性のいい組み合わせだが、やっぱレベルが違うとケタが違うな!

:燃える竜巻!

:氷河と霜の巨人どもがあっという間に溶かされてる。

:水蒸気ヤベェ! 全然見えない――と思ったら凄い勢いで消えてく?

:水蒸気爆発大丈夫か!? アレ規模によっては山崩すレベルの災害だからな!?

:確か火山活動とかで稀によくあるっていう……。


「あ、大丈夫です。


:???

:ちょっと何言ってるか良く分からないですね。爆発ごと……なんだって?

:当たり前のように物理法則無視すんなし。

:こいつも人外じゃったか。


「おっと、炎が収まりましたね。眷属はほぼ始末できたかな」


:サラリとスルーしやがった。

:何でもないことみたいな顔しやがってよ……。

:そんなだから仲間が出来ないんだぞ。


「止めて下さい、刺さります」


:今日一番ダメージ喰らってるじゃんw

:草。

:大草原ですわ。

:やはり黒鉄大和最大の敵はライバーズなのでは?


「くっ、色々言いたいことはあるけどまずこの戦闘を終わらせなきゃ」


:それはそう。

:ちょいシリアス顔。流石に黙っとくか。

:集中乱してマジで大和君負けたら洒落にならんからな。


「オラッ、僕の八つ当たりを喰らえ!!」


:おい一秒でこっちの配慮を無駄にするな。

:八つ当たりで巨人を斬り倒してやがるwww

:ライバーズへの鬱憤を巨人にぶつけるとかある?

:自粛したライバーズに本人が火種投下するとかさぁ。


「このままボスまで行きます!」


:超スピードで立ち塞がる眷属巨人を斬り捨てていく。めっちゃスタイリッシュ。

:燃える刃かっこE。どうやってんの?

:ヤッくんがスキルで火属性付与してるんだと思う。

:あれでダメージ2倍だから相性ゲーは伊達じゃない。


:連中の敗因はこの私がいたことだ(ドヤ)@みそP


:このドヤ顔姉貴面院さぁ。

:いやね、太陽属性持ちのみそPは連中の天敵だけどね?

:事実ではある。何故引き篭もりがドヤ顔出来るかは分からない。

:まずヤッくん労わってやれよ。


「はい、ボスまで到着! お疲れ様でした!」


:言ってる間に距離を詰めたか!

:眷属もほぼ残ってない。勝ったな(先行入力)

:ボスが破れかぶれの反撃!

:躱してからの十文字! 胸と腹を搔っ捌いた!

:大ダメージ! やったか。


「……


:流石に死んだよな?

:いや。

:こいつ、まだ動くぞ!


「――――ッ!!」


 †《エリート》†《戦闘継続:誇り》†


:うるせえええぇぇ(三度目)

:巨人種とはいえタフすぎる、戦闘継続スキルか!

:反撃来るぞ!


 †《霜の巨人》†《怪力》†《属性権限:氷》†《槍術(中級)》†《決死の反撃》†《》――――


:耐性破壊スキル!?

:おいマジか。

:え、なに? どういうこと?

:耐性無効! ざっくり言うとこれまでよりダメージ2倍!!

:ここまで奥の手隠してたってか!? 頭回るなこいつ!!

:警戒しろ、ヤバいぞ!



:ヒエッ

:目が怖い。

:修羅の貌、か。

:いつもの大和君じゃない……。

:ヤバい、惚れそうなくらい格好いい。


 †《剣術(中級)》†《踏み鳴り》†《唐竹割》†《建速嵐タケハヤノアラシ》†《属性権能:風》†《暴風収束》――――


:来たか。天津神風の対、単体火力特化型コンボ。

:風が大和君の剣に集まって渦を巻いてる……どんどん黒く、デカくなってるっ!?


「――死ね」


 †《コンボ:禍津神風》†


:やっべ……何アレ?

:黒くてデカい剣が巨人を押し潰した……で、正しいのか?

:ミンチより原型がないんで詳細不明。

:収束した風が光すら歪めた? ……自分で言ってて訳が分からんな。

:Lv.70を消し飛ばした、か。

:今日ほど黒鉄大和が人類の味方でよかったと安心した日はないかも。


 25階層フロアボス、ヨトゥン・エリート討伐完了。

 Aランク迷宮間引き依頼――達成。

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