第2話「脅威!重量級ゾンバット」

大我は前回の戦いでダークウルフの損傷箇所が無いか調べていた。

「ふぅ〜……今回は大丈夫そうだな」

損傷箇所は無い様で一安心。

ふと落ち着くと前回の戦いの後の国家安全保安局の動向が気になっていた。

奴ら……あの遺体をどうするつもりだ?

そんな事を考え込んでいると愛が入って来た。

「大我ー、入るわよー?」

「ああ、愛姉か……どうしたんだ?」

「ねぇ、大我。たまには気分転換に皆で外でご飯食べない?」

「え?」

愛に連れ出され大我が外に出ると……。

「おっ、大我来たか!」

貴明と光がバーベキューの準備をしていた。

「どうしたんだ?皆……」

「ああ、久しぶりに良い肉が手に入ったからたまには皆でパーっと盛り上がろうと思ってな」

「え?でも……」

大我は愛の方を見る。

「大丈夫。工場からお金貰えたからたまにはさ」

「ああ……」


4人はバーベキューを楽しむ事に……。

食糧難に陥っているエリアゼロではこんな事中々出来ない。

束の間の幸せな時間だった。


だが、そこに……。

「おいおい、誰に許可取ってそんな良い肉食ってんだ?」

現れたのはガラの悪い3人組。

「鬼塚さん、コイツらバーベキューなんかやってますよ!コイツ等の肉貰いましょー」

「そうだな。潔くその肉をくれたら痛い目には遭わなくて済むぜ?」

「とっとと寄こした方が身の為だぜ?」

「何だお前ら?」

「おいおい、ここらを仕切ってる鬼塚さんを知らない訳じゃねぇよなぁ?」

「……知らないな」

「ぐっ……のやろう……良いからさっさと肉よこしやがれ!!」

「ちょっと!これは私が工場で働いて貰ったお金で買ったんだから勝手な事は許さないわよ!!」

愛が前に出て啖呵を切る。

「ちょ……愛姉……」

「フンッ……女か……調子に乗るんじゃねぇー!!」

鬼塚が愛を引っ叩く。

「きゃっ!?」

「愛姉!?」

大我が愛に駆け寄る。

「愛姉、大丈夫か?」

「うん……大丈夫……」

「ケッ……さっさと俺等に従ってりゃあ痛い目に遭わなくて済んだのによぉ……」

「くっ……」

大我が鬼塚に殴り掛かる。

「うわっ!?テメェ!?」

大我は鬼塚を殴り続ける。

「ちょっと……大我やめなさい!」

愛が止めるが……。

大我の怒りは収まらない。

「テメェ、鬼塚さんを離しやがれ!!」

子分の1人が大我に殴り掛かる。

「ぐあっ!?」

「鬼塚さん大丈夫ですか?」

「ああ……テメェ……」

「……」

大我も鬼塚を睨み付ける。

「チッ……行くぞ……」

鬼塚達は引き上げる。


貧困に悩まされるエリアゼロではこの様な事は日常茶飯事だ。

どこでだって犯罪が起きる。


夜ーー

バーベキューも終わり大我は夜風に当たって考え事をしていた。

そこに愛が。

「大我」

「ん?愛姉か……」

「さっきはありがとう」

「大丈夫か?」

「うん、平気。でもね大我。もう喧嘩なんてしちゃダメだよ」

「それは約束出来ないな……こんな世界だから……」

「そうね……でも、私は大我にはいつも笑顔で居て欲しいなぁ」

と言って大我の頭を撫でる。

「おいおい、ガキ扱いするなよ……」

大我は抵抗し立ち上がる。

「俺は今まで愛姉に守られて来た……だから今度は俺が愛姉を守るから……」

「ありがと……」


その頃、昼間の3人組は……。


「クソッ!あのガキ……今度会ったらただじゃおかねぇ……」

「まったく、鬼塚さんに歯向かうなんて馬鹿なガキでしたね」

「あーあ、腹減ったな〜……何か食いもんは……」


「うぅぅ……」

「何だ?俺達のアジトに誰か居んのか?」

3人が奥に様子を見に行くと……。

そこにはゾンバットが……。

「うわぁ!?」

「チッ……何で俺等のアジトに居るんだよ!?」

ゾンバットは3人に襲い掛かる。

「うわぁぁぁっ!?」


貴明のパソコンのゾンバットサーチャーが反応し、警報音が鳴る。

「大我!ゾンバットだ!!」

貴明が外の大我を呼びに来る。

「何っ!?」

大我は急いで格納庫へ……。


『ウルフダッシュ』の発進準備をする。

「大我、現場はここから西へ2キロの廃ビルだ!」

「分かった!ウルフダッシュ、発進!」

大我は出動。


廃ビルの中から鬼塚と子分2人が逃げ出して来る。

「うわぁぁぁっ!?」

「や……やべぇ……鬼塚さんが……」


そこへ大我が到着。

「ん?お前達は……」

「あっ!昼間のガキ!」

「何があった?」

「た、助けてくれ……ゾンバットが俺等のアジトに居て……鬼塚さんが……」

「何っ!?」


そして、2人を追い掛けて鬼塚が廃ビルの中から出てくる。

「鬼塚さん!」

「うぅ……うわぁー!!」

鬼塚はゾンバットに変貌。

「鬼塚さんがゾンバットに!?」

「くっ……これじゃあもう助けられない……」

大我は『ウルフチェンジャー』を構える。

「おい、お前……どうする気だよ?」

「こうなったらもう倒すしかない!離れてろ!」

「あ……ああ……」

子分2人は逃げる。


「変身!」

大我はダークウルフに『変身』


「行くぞ!」

ダークウルフはゾンバットに攻撃を仕掛ける。

ゾンバットも迎え撃つ。

「はっ!」

ダークウルフのパンチがゾンバットを殴り飛ばす。

「うぅっ……」

ダークウルフは更に攻撃。

だが、ゾンバットの反撃。

「ぐあっ!?」

そして、ゾンバットは更に進化。

太い腕を持つコングゾンバットに進化した。


「くっ……進化したか……」

コングゾンバットはダークウルフに殴り掛かる。

「うわっ!?」

コングゾンバットのパワーに吹き飛ばされるダークウルフ。

コングゾンバットの容赦の無い攻撃がダークウルフを襲う。

「ぐはっ!?」

「大我!!大丈夫か?」

貴明が通信で尋ねる。

「あ……ああ……でも、結構ヤバそうだ……」

コングゾンバットが追い掛けて来る。

「ぐっ……うわっ!?」

コングゾンバットの突進攻撃を受ける。

「うをぉぉぉぉー!!」

コングゾンバットは腕を勢い良く振り下ろしダークウルフを叩きのめす。

「ぐはっ!?……くっ……このままじゃ……」

ダークウルフはコングゾンバットの一瞬の隙を付いてその場を離れる。

「くっ……力比べならコレだ!」

ダークウルフは『ウルフチェンジャー』のボタンを押す。

すると、瞬時にダークウルフの姿が変わった。

赤い装甲を身に纏った『パワードフォーム』にチェンジした。

コングゾンバットが再び突進攻撃を仕掛ける。

だか、ダークウルフはその攻撃を受け止める。

「この力なら……負けない!!」

ダークウルフはその超パワーでコングゾンバットを投げ飛ばす。

「うぉりゃあー!!」

コングゾンバットは地面に叩き落とされダメージを受ける。

更にダークウルフは攻撃を続ける。

怒涛の連続パンチを叩き込みコングゾンバットにダメージを与えて行く。


「一気にトドメだ!!」

コングゾンバットはダメージを受け続け動きが鈍くなっていた。

ダークウルフは専用武器『パワードマグナム』を取り出す。

それはロケットランチャー型の武器だ。


必殺技『パワードブレイク』を発動。

『パワードマグナム』を使用して放つ必殺技で、ミサイルを放ち敵を爆破する。

「ぐわぁぁぁっ……!?」

コングゾンバットは倒された。


「鬼塚さん……」

ダークウルフは変身を解除。

大我の姿に戻る。

「残念だが、ゾンバットになった奴は倒すしかない……」

「ああ、分かってるよ……」

「助けてくれてありがとな……それと……昼間は悪かった……」

「別に気にしてないさ」

そう言って大我は去って行く。


ダークウルフの戦いを何者かが傍観していた。


「アレがダークウルフか……奴のデータは役に立ちそうだな……」

この男の正体は何者か……。


大我が『ウルフダッシュ』で仲間達の元へ戻っている道中。

「ん?」

大我はある気配に気付いた。

『ウルフダッシュ』を止め辺りを見渡す。


「貴様がダークウルフか?」

そこに立っていた1人の男……。

「誰だ、お前……」


「俺は増見陽介(ますみ 陽介)。お前に勝負を挑む!」

突然の宣戦布告。

この男は一体!?


続く……。

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