街でナンパから助けた女の子が、俺と犬猿の仲のクラスメイトである美少女モデル様だった件
如月ちょこ
プロローグ モデル様をナンパからを助けたら
第1話 ノリと勢いで正面突破!
「……あれ、ナンパ師いるじゃん」
俺は一人で用事があって街に繰り出していた。その用事が終わって帰ろうとしたとき、ある女の人がナンパ師に絡まれていたのを見つけてしまった。
いつもなら、こんなことには首を突っ込まない。無視だ。相手するだけ面倒だから。
けど、今日の俺は気分がいい。何にでもなれそうだ。
そんな謎の高揚感の下、俺はその女の子を助けに行こうと思う。
そう決心して、俺はナンパ師たちの下へ向かう。
えーっと? 大体こういうときって、『俺の彼女に手を出すなっっ!!!』とでも言えばいいんだよな?
それで手を引いて、二人で一緒に走り出して……。路地裏に行って、二人でゼェゼェハァハァ言いながら新しい恋の始まりを――
「おいこらクソガキ。お前なにしにここに来てんだァ……?」
――なんていう妄想は、現場につくまでに終わらせときましょうねといわれんばかりに、ナンパ師から話しかけられる。
うん、眼の前の大男に勝てる気がしないよ。さようなら〜〜! とでも言って逃げ出したほうがいいのかな。
いや、けどそれだったら男が廃る。齢16のこの俺、未だに彼女ができたことがないんだ。
だったらせめてナンパ師から助けるっていう実績解除くらいはしたいものだ。
「い、いえ私は全く怪しいものではございませんどっちかといえばあなた様の味方でしてあのその……!(早口)」
「……あ゙?」
やっぱり人に詰められてるときっていつも通りに口が回らないよね。
考えてることが1つも言葉に出なかったどころか、一緒にナンパ師のお手伝いしますなんて言っちゃったもんね。
最低最悪だよ俺。なーにやってるんだ。
「あの、茶化すならここから離れてもらえますか??」
なんと。ナンパされてる側の女の子からも邪魔だ。ゴミ。とっとと視界から消えろって言われてしまった。
俺はこっからどうやって生きていけばいいのだろうか…………。
そう考えていた矢先。俺の目に、女の子から出てる微かな涙を認めた。
あぁこれは。強がってるやつだ。そしてもう、このナンパ師に喰われることを許している。
なるべく喰われる時は人が少ないほうがいい。そんな考えから俺のことを邪魔者扱いしたんだろう。
あぁ。ようやく考えがまとまってきたぞ。
やっぱり俺は初志貫徹。最初にナンパ師からこの女の子を助けるって決めたんだ。
だったらやるしかないじゃないか。さぁ、琉人。覚悟を決めようぜ? 人生初だろ、こんなこと。
実績解除だと思えばなにも怖くねぇ!
「そうですね……。俺もどっかに行きましょうか……」
その言葉と同時に、俺は女性の手を握る。
「あなたと一緒にですけどね!! さぁ走りますよ! ついてきてください!!」
「あっおいこら待てやクソガキぃ!」
「やーいやーい! お前の走力白鵬!」
ふぅ決まった。暗にお前の走る速度は遅いんだよって言ってやってるんだ。
かっこよすぎるだろ俺(?)
「……白鵬って身体能力化け物ですよ?」
「……えっ」
隣の女の子から衝撃的な言葉をいただいた。
「ま、まぁ! 今はとにかく逃げましょう!」
俺の失態を有耶無耶にすることができているこの逃避行に感謝しながら、俺達はナンパ師の追跡を振り切り、なんて見事に路地裏に行くことに成功したのであった……。
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