本当の意味で「次元の異なる少子化対策」

メグルハ

第1話 宝くじが当たった

俺は毎日だらだら生きているニート同然のフリーター、金戸田幸(かねとだ こう)だ。毎日ギリギリのライフサイクルを過ごしている。


借金は払うがいつも遅刻しており、信用には当然傷がついてる。


俺はルックスはまぁまぁ良く、女の人にもよく見られる。チラチラ見られる。まるで動物園でライオンが放し飼いにされているかのように、驚いたような顔でガン見される。

しかし、不摂生な生活が続いてるので体型は良くない。やればできるアラサーなのだが、痩せる理由もなく。


俺は結婚しなくていいかなぁと思っていた。自分の自由が奪われるからだ。時間に縛られない浮ついた生活ともおさらばしたくない。誰かに時間を取られたくない。そう感じていたし。デートはレンタル彼女サービスを利用し、セックスは風俗に行けば満足だった。


しかし、俺はアニマルビデオ、つまりAVを見るのも好きで、動物の繁殖についてもよく考察していた。テレビで動物の生存戦略と繁殖の術を見ていると生物として子孫を残さないということは、先祖代々ミャクミャクと続いてきたDNAを自分の代でそのバトンをこぼしてしまうことになりかねない。


ある春の日。俺は連番で10枚宝くじを買った。宝くじは趣味みたいなものだ。宝くじが当たるかもしれないと思いながら過ごす高揚感がたまらなく好きだった。しかし、外れた時の落差も大きい。いっそ買わないほうが経済的にエコ何じゃないか?と思うけど、射幸心には勝てなかった。


しかし、この3月にライオンが吠えた。3月にはなんの運命も感じたことがなかった。3月は離れていく季節。ホモサピエンスの群れが次の群れに向かう大行軍の時期だった。俺はいつも周りに良いように利用され、調整弁としてこき使われてきた。レスキュー隊員か何かだと思っていた。


そんな中、宝くじ1等1億円前後賞あわせて3億円が当選したのだった。しかし、特段使いたいものもなく貯金に回すことにした。貯金が減らないような生活を送ることにしたのだった。

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