第6話 絵里奈とエルナ

 緊急家族+エルナ会議が終わるなり、父さんと母さんは色々する事があるからと言い、俺に3万円程渡してくれて言ってきた。


「これでエルナちゃんの服を買ってあげなさい、何時までもシスター服なんてこっちの世界では目立つぞ」


 俺は確かに、と思い感謝しながら受け取り、妹に話しかけた。


「絵里奈、少し良いか?頼み事があるんだけど」


 妹は俺が何を言いたいのか、察したらしく、エルナを連れ部屋に戻って行った、その間エルナは頭に『?』を浮かべながら、されるがままにされていた。


 妹は父さん達に着いていくと言い事で、準備し終わった父さん達と俺は、エルナと妹を待つ間少し話す事にした。


「色々する事があるって言ってたけど、布団とかの準備、他に役所に確認をとかするの?」


 俺がそう質問すると、父さん達は少し困った顔をして答えてくれた。


「確かにそうだが、からどうしようか迷っててね、ないと学校にも入れないかも知れないから・・・」


 確かにそうだ、異世界から来たエルナの戸籍なんて奇跡でも起こらない限り、あるはずが無いんだから、召喚する時その事を考えて無かった。


「はぁー」と3人はため息を付きながらこう言うのだった「奇跡起こんないかな〜」と。


 ◇◇◇


 絵里奈視点


 一方その頃、妹の部屋ではこんな事が起こっていた。


「エルナさん、改めましてよろしくお願いします、さっきお兄が説明してましたけど、私は絵里奈と言います」


 と、私はエルナさんに改めて挨拶をすると、エルナさんも改めて挨拶をしてくれた。


「こちらこそ、よろしくお願いします、つばさにも言ったけど、私の事はエルナで良いですからね、その代わり私も絵里奈って呼びますから」


 そう言われたが、私は年上の方を呼び捨てで呼ぶ事は出来なかったのでそれは却下して置いて、別の呼び方を提案した。


「私より年上のエルナさんを呼び捨てで呼ぶのははちょっと・・・だからエルナちゃんって呼ぶ事にするね」


 するとエルナちゃんは「分かりました」と返事してくれた。


 エリナさん、いやエリナちゃんは満面の笑みでそう言うって来る、何この子、異世界の少女まじ凄い、私可愛い自信あるけどそれよりも、もっと可愛いんですけど。


 お兄が会議の時ずっとソワソワした理由分かったわ、少しエリナちゃんが羨ましいな、なんて思いながら少し嫉妬するのだった。


「挨拶も終わった事だし、早速エルナちゃんに似合いそうな服を選びましょうか!」


 すると、エルナちゃんは少し不思議そうに質問してくるのだった。


「どうして、服を選ぶんですか?この服ではダメなのですか?」


 あぁそうか、エルナちゃんが今まで居たのは私達から見たら異世界、つまりこっちの世界での常識が分からない、偶にお兄に異世界ファンタジーの漫画を貸してもらうけど、向こうではシスター服が普通なんだよね、まずはそこから教えてあげないとね、と謎に気合いを入れる私だった。


「まずエリナちゃん、こっちの世界・・・地球では私やお兄、お父さんやお母さんが着ている服が普通なんだよ、だからエルナちゃんが着ている服のまま外へ出たら変に注目されるからだよ」


 と言い私は小声で「服替えてもその綺麗な顔だったら注目されるのは変わらないけどね」と呟いた。


「確かにそうですね、ここは異世界、私が元いた世界では無いですもんね、ついうっかりしていました、絵里奈、ありがとうございます」


 それから、改めて服を選ぶ事になった、まずは私が勝手に組み合わせ、それをエルナちゃんに選んでもらいそれを着てもらうということになり、私は複数の組み合わせをエルナに見てもらい、選んでもらった。


 服を選び終わり、シスター服をどんどん脱いでいくエルナちゃんを見て、私は目を疑った。


「その傷って・・・」


 エルナちゃんはビクッと驚き、直ぐにその傷を隠そうとするが、傷は大きく全く隠れない。


「ごめんなさい、汚いものを見せてしまって・・・」


「大丈夫だよ、ただビックリしただけだから、出来ればなんの傷なのか教えて欲しいけど、それはもっと仲良くなって、話したいと思った時に話してくれればいいから、それより・・・」


 私は、思った事をそのまま伝え、話題転換しようとしたが、エルナちゃんは少しだけ、その傷に付いて話してくれた。


「これは私が小さい頃、に付けられたものです・・・その時の記憶は殆どありませんが、多分その時ですね」


 エルナちゃんは少し悲しそうな目をしながら語ってくれた、人攫い・・・異世界では偶にある事なのだろうか、それでもこっちに来た事で何かエルナにいい変化が起こることを祈るだけだな。


「ありがとうエルナちゃん、辛い事なのに話してもらって」


「いやいやいいですよ、、だけどつばさには絶対言わないで下さいね!」


 と最後釘を刺されてしまった。


 ◇◇◇


 そんな事もありつつ、着替えは進んでいき選んだ服をエルナちゃんは今着ていた。


 着替えてる途中、なぜお兄は私に頼んだのか分かった気がした、それは胸だ・・・エルナちゃんの胸は小さかった、そう私と同じという事だ、お母さんに服を貸してもらうとなると、胸の部分がブカブカになるので頼まなかったのだろう、だけど・・・変態お兄、最低。


 そんな事を考えていると、エルナちゃんが話しかけてきた。


「これで良いんですか?」


 私は声のした方を見るなり上から下へ観察し、親指を立てるのだった。


「完璧、早速お兄に見せに行こっか」


 エルナちゃんは少し照れ、俯きながら「はい」と言うのだった。


 ◇◇◇


 つばさ視点


「もうすぐあの2人来るよね?」


 そんな事を聞くと、母さんはスマホを確認し、答えてくれる。


「今行くって」


「ありがとう」


 俺は母さんに感謝を伝え、少し待つとリビングにエルナと妹が現れ、妹は「じゃじゃーん、エルナちゃん可愛いでしょう、お兄の好みにしてあげたよ」と言われた、嘘だろ・・・妹に好みを知られてんの?そんな事を考えながら、エルナを見るとまじで俺の好みドンピシャだった。


 俺がエルナに見とれていると、父さんと母さん、妹はそそくさと家を出ていき「鍵は頼んだ」と言い、去っていった。


 エルナの格好は上から、帽子を被り、今まで下ろしていた綺麗な銀髪をポニーテールにし、ナチュラルメイクと言うのかな?それをし、服はオーバーサイズのパーカー、下はパーカーに隠れ少し見えているミニスカに黒タイツ・・・俺は椅子から落ち吐血したが、膝を床に付け手を合わせ祈るのだった。


「絵里奈様、ありがとうございます、貴方は神だったんですね」


 するとエルナは「はわわ」と慌ててこちらに近付き、回復魔法だろうものを異世界言語で唱えてくれた、すると俺の傷(吐血)は消えていった。


 まじで俺、エルナを異世界から召喚したんだな、と実感し立ち上がり感謝を伝える。


「エルナ、ありがとう!」


「いえいえ、お役に立てて良かったです」


 それから俺たちはいい加減行かないとダメだと思い早速出掛ける事にした。

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