第2話 最後のお客

 俺が居間に座ると、奥から茶瓶と湯のみをお盆に乗せ持ってきたお婆さんが、俺の前に一つの湯のみを置き、そこにお茶を注がれたので、俺とお婆さんは一口飲み「ふー」と一息を着くと、お婆さんは俺に質問をしてきた。


「お主は、地球とは違う別の世界、異世界を知っておるか?」


 異世界?ラノベとかに出てくるあの異世界の事かな?だったら・・・


「ここに来る前の俺は、異世界なんて創作物の世界だと思って信じては無かったし、妄想で考えていただけだったよ、だけど霧を通ってここディゼルの店に来た時、俺は本当にそんな世界があるんだ、と信じる事になったよ」


 実際【真実の鏡】が現代では信じられないけど、異世界の技術って言われるなら俺は信じるよ、と付け足した。


 まぁ、それよりもディゼルの店内に入った時、本物の剣だろう物や、魔法のスクロールなどがあり、奥にはチラッと見えたが獣人の少女が掃除をしてる姿が見えたのでな、信じざるおえないなと思ったんだけどね。


「それなら話は早いな、最初から本題に行こうか【真実の鏡】に映ったあの魔法陣は人を呼び出すための道具の一つ、お主の世界・・・地球のラノベと言う本に出てくる異世界転移の簡易版だな」


 俺は信じられなかった、実際に出来ると何故か分かるのだが、分かると信じるは違うのだが、好奇心で俺はお婆さんに質問する事にした。


「その呼び出せる人は、どの世界の人物でも行けるのか?」


 俺が台に乗り出し質問をすると、お婆さんはお茶を一口飲み、話し始めた。


「まぁ落ち着け、それを今から話すから、だがその前にまずはお主の質問に答えるべきだな、お主はどんな世界、例えば異世界やラノベの世界、現代の居なくなった人を呼び出す事を出来るか?と言う質問だったよな」


「あぁそうだ、そう解釈してもらって構わない」


「その質問なら答えは、だな」


 俺はまたもや興奮し、台に乗り上げお婆さんに続きを促す。


「その道具ってなんだ?教えてくれ」


「まずはお主の世界、日本にいる物の呼び出しからだな、必要な道具は6つ、1つ目、魔法陣の描かれた紙、2つ目、満開の桜の花びらを5つ、3つ目、牛肉のブロックを100g、4つ目、相手の位の高さに釣り合うお主の大切な物、これは後で【真実の鏡】聞けば分かる、5つ目、お主の血を3滴、最後に呼び出すための呪文の書かれた紙」


 と言いながら、お婆さんは道具を台の上に置いていく。


「次に、創作物の世界から呼び出す為の道具も同じく6つ、1つ目、魔法陣の描かれた紙、2つ目、呼び出したい人物の描かれた創作物、3つ目、豚肉のブロックを300g、4つ目、【封印の指輪】、5つ目、お主の血を3 適、最後に呼び出すための呪文の書かれた紙」


 と言いながら、またもや必要な道具を台の上に出していくお婆さん。


「最後に、異世界にいる者を呼び出すための道具だ、これも同じく必要な道具は6つ、1つ目、魔法陣の描かれた紙、2つ目、造花のバラを全色、3つ目、鶏肉のブロックを500g、4つ目、【言語理解のチョーカー】、5つ目、お主の血を3適、最後に呼び出すための呪文の書かれた紙」


 と言いながら、必要な道具を台に置くお婆さん、話終えるとお婆さんはお茶を一口飲み、「質問はあるか?」と聞いてきた。


 俺は気になっていた事があったので質問する事にした。


「あります、1つ目、何故呼び出すための道具に牛、豚、鳥のブロック肉が必要なんですか?、2つ目、何故血が必要なんでしょうか?、3つ目【封印の指輪】とはなんですか?、4つ目【言語理解のチョーカー】とはなんですか?」


「確かにそれは聞かると思ったが、まぁいい答えてやろう、1つ目の質問の答えは、呼び出す労力、エネルギーにする為だ、2つ目の質問の答えは、座標の確定だ、もし血を垂らさなかったら、別の時空、別の時間軸に放り出されるからだ、3つ目、これは人に寄るんだが、もしファンタジー系の世界の人物を地球に放ったらどうなると思う?その為の【封印の指輪】だ、4つ目、異世界の人物なんだから言葉が同じ事は無いだろう、その為の【言語理解のチョーカー】だ、これで質問は終わりか?」


 俺はそれを聞いて理解した、確かに全部必要な道具だった、そこで俺は決めないと行けない、どの世界の人を呼び出すのか・・・そんな事を考えていると、お婆さんが話しかけて来た。


「お主は、もう決まってるのでは無いのか?」


 俺はその質問にビクッとした。


「な、なんの事ですか?」


「とぼけなくても良い、お主と同じ人物を昔見た事が合ってな、それで重なったのだ、だからそう慌てるな」


 お婆さんは嬉しそうな、楽しそうな目をしてこちらを見ていた。


「お婆さん、最後の質問です、呼び出した人物、お客さんは最後まで幸せそうでしたか?」


 俺の質問にお婆さんはニコと笑い「あぁ幸せそうにしていたよ」と答えてくれた。


 俺は、その返事を聞き覚悟を決めた。


 ◇◇◇


 俺がディゼルの店を出ると、またもや濃い霧に覆われ、元来た道へと戻ってきていた。



 あの店はもう誰の目の前に現れるとこは無いだろう。



 これは俺の勝手な考えだろうが、多方合っているだろうから話す事にする、あの店ディゼルは元々お爺さんが経営したが【真実の鏡】入荷後、効果を知り使い、魔法陣の描かれた紙が映し出され、色々調べ、異世界からの人物を呼び出す、それがあのお婆さんで、2人は結婚後、お爺さんは他界、お爺さんとの約束でお婆さんが経営、経営中にお婆さんも他界するが、お爺さんの夢を叶えるため死んでも経営が続き、俺の来店、そこで夢を叶え、成仏って感じなんだろう。


 だから最初に会った時足が透けていたし、あの時、悲しそうな目をしていたし【真実の鏡】の時に質問した後の、あの無言だったのはそう言う事だろう。


 制約として、1度使った者は使えないや、死んだ者は使えないとかあるのだろう。


 だが俺的には、最後にお婆さんが笑って成仏してくれるのは嬉しかった。







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