第58話 侵入者?
「今日で半分のノルマを達成したけど、明日で全部達成できるかねぇ?」
「そうしないと明後日には戻らないといけないわけだし。やらないわけにはいかないでしょ」
宇宙船の居住スペースで、今日の分の食事の準備をしつつ。
俺たちは会話していた。
『この惑星での滞在期限は、明後日の日本時間午前10時ですので』
知ってる。
宇宙船AIのその言葉に心でそう返し。
食器棚から2人分のお茶碗と皿を出す。
……ちなみに、このお茶碗は2人とも私物だ。
会社の経費でも多分買えるんだけど。
誰も買わないんだよな。
箸と茶碗だけは。
会社で使うものは基本的にボールペン1本まで会社の金で買うのが基本だけど。
食器の一部は自主的に対象外。
「お茶碗貸して」
相棒がそう言い、炊事場から炊飯器を持って来た。
1合炊きで、半合ずつ分けて食べる。
それが俺たちの
2人のお茶碗に、温かい白飯をよそう。
俺は無地の白い茶碗で。相棒は青い縞模様の入った茶碗。
相棒が白飯の準備をしてくれている間に。
俺は宇宙船AIが調理したおかずを受け取りに配膳口に向かう。
小さな配膳口に2人分のおかず。
今日は青菜の煮物と焼き魚と豆腐。
魚は……多分、鯖か。
鯖は養殖で選択されやすいから、安いんだよね。
片身3枚で100円……
妹も、よく食卓で採用している魚だ。
とりあえず、煮物のお椀と焼き魚、豆腐の皿をトレイに乗せ。
それを持って食卓に。
そのときには相棒が2人分、白飯をよそっていた。
食卓に並べ、夕食の完成。
「いただきます」
2人で手を合わせ、食べ始める。
まあ、美味い。
「しかしさ」
相棒が煮物を口にしながら会話をはじめる。
「アンタ、自炊してるの?」
「してるに決まってるだろ。昔のドラマじゃないんだから」
今どき、自炊してない奴はいない。
昔は仕事に数えられる家事だったけどさ。
今は料理と後片付けはAIに任せるのが基本なんだよ。
そんな状況で、自炊しないっておかしいわな。
すると
「いやいやいや。本来の意味の自炊」
相棒からの言い直し。
そっちか。
つまり自分で鍋やフライパン使っての普通の料理。
それは……
「それはしてない」
それは流石にしてないな。
昔は必須技能だったみたいだけど。
今は職業料理人か、趣味だわ。
相当なアルコール好きにその傾向が強いと聞く。
「アンタ酒飲むよね?」
「飲むけど、つまみは別に缶詰で良いし。こだわりは無いから」
そう答えると相棒は食べ物を飲み込んで
「そうなんだ。……ちなみに私はしてるけどね」
まあ、相棒はワインだとかブランデーだとか。
洒落たもの飲むしな。
別に自炊しててもおかしくは無いか。
「何を作ってるわけ?」
俺の問い。
彼女は唇に指先を当てて
「アボガドと魚のお刺身を使ったサラダとか……」
俺の質問に、相棒が語り出そうとした。
そのときだった。
宇宙船AIが警告を発した。
『……正体不明の宇宙船2
……え?
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