第17話 憂鬱ぅぅぅ!!

 あぁ~気が重いぃ……これがバーンアウト……いやそもそもこの件に関してはやる気が無かったわ。

……とにかく今日から魔法少女イサドラのボディーガードだ!せめてシャキッとしなければ!


「お、………赤木、どうだ?調子は。」

 やはり赤木呼びは少し時間がかかるな。

「はい!ぐ……小田さん!俺はぐっすり眠れました!」

「おぉ、そうか。」

 こいつ……恐ろしいヤツだぜ。

「イサドラさんのスケジュールは詳しく聴いていませんが、あと三十分程で出立されるとのことです。」

「へぇ……スケジュールを把握してないのか?」

「はい、イサドラさん本人から、その時によって予定を変えるから大雑把でいいと言っていました。」

 ………やりづれぇ。やっぱモニタールーム24時になるかもなぁ。まぁ…そん時はAQよろ!


 その後の三十分は、赤木が買ってきた菓子パンを噛っていた。最近の菓子パンはなんでもかんでも生クリームが入ってるんだね?最近コンビニ行ってないから知らなかったよ。


 

 ガチャ

「おはようございます。アカギ、それと…オダ!」

 時間になると魔法少女イサドラが笑顔で出てきた。

「おはようございます、イサドラさん!」

「おはようございますイサドラ様。私の名前を覚えていただき感謝の念に絶えません。今日から身辺に侍る栄誉を賜りまして嬉しく思います。」

「え…あ、いえいえ、そんなに畏まらなくても良いですよ。」

 む、堅すぎたか。

「承知しました、イサドラ様。」

「その様付けも、する必要は無いのよ?」

「いえ、こればかりは性分ですから。」

「そ、そうですか、分かりました。では行きましょう。」


「小田さん、すごいですね。あんなにすらすらと喋れるなんて。」

 赤木が小声で訊いてきた。

「違うよ。緊張で敬語じゃないと頭おかしくなりそうなんだよ。」

 これはガチ。敬語で話すという脳の回転で、魔法少女に対する緊張を誤魔化してるのさ。






「ねぇ、あそこの服を見に行って良い!?」

「はい!行きましょう!」


「ねぇ、あそこで軽食にしましょう!」

「はい!良いですね!」


「ねぇ、あのお店は何!?」

「はい!あそこは…」


 あぁぁぁぁ………疲れたぁぁぁぁ………

 二人とも元気すぎるだろぉ…………

 信じられるか?これでまだ午前なんだぜ?

 これがもし漫画なら、俺の口から魂が抜けてるだろうよ。




「ふぅ、美味しかったわ。二人もちゃんと食べれた?」

 ………む?何故魔法少女イサドラが目の前に?

「はい、お気遣いに感謝します!」

「は!?…感謝します。」

 赤木が喋ったことで私は正気に戻った。

 怪しまれては…ないな。すぐ動けるように軽いものを食べた後、疲れて寝てしまったようだ。かなりの失態だ。バレて………

  『軍師様、大丈夫ですか?』

  …た。

  「大丈夫だ。問題ない。」

   私は口を抑えて小声で返す。

 


 ………気を付けねば。


「そうだ、二人に言ってなかったけど、午後から約束があるの。良い?」

「もちろんです!我々はあなたのボディーガードですから。」

 もう、返事するのは赤木だけで良いかな?

 それにしても魔法少女イサドラの約束か……嫌な予感がするが…期待を込めて何だろうか?










「初めまして、イサドラ。会えて嬉しいわ。」

「私こそ、日本最初の魔法少女カザリ。」

 魔法少女イサドラと魔法少女カザリが握手をする。

 …………だぁと思ったよぉ、ったく。魔法少女との約束なんか同じ魔法少女か政府関連だとよぉ。

「お、お会いできて光栄です!魔法少女カザリさん!俺も握手して良いですか!?」

「彼は?」

「私のボディーガードの一人よ。ユーモアがあって可愛いのよ。あなた有名人だからボディーガードの人も会えるのが嬉しいんじゃない?」

「まぁ、それは嬉しいわ。こちらこそ。」

 赤木と魔法少女カザリが握手をする。

 ………お前マジですげぇな!?本当にニューワールドの戦闘員なのか?信じらんねぇ………

「あ、オダもする?」

「いえ、私は遠慮しておきます。」

 冗談じゃねぇ。


「それじゃあ行きましょう。」

 魔法少女カザリがパン!と手をたたくと魔法少女イサドラの手を引く。

「そうね、私楽しみにしてたの!」

「イサドラさん、どちらに行くのですか?」

 少しも臆さず話す赤木。

 どういう神経してんだろうな?こいつ。

「ふふ、日本の魔法少女との練習試合です。」

「へぇー楽しみですね!」

 こいつ絶対クスリやってるって!!

 魔法少女が集まる所に行くとかさぁ、こんなに憂鬱なの俺だけ?

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