第15話 心臓が飛び出るぅ!

 先日は疲れたなぁ。

 魔法少女をこの目で直接見たり、貴族のパシリ等色々あったが、あの忙しさが恋しくなるくらい、現在は書類とのにらめっこが続いていた。

 デスクワークが辛すぎる……。私は身体を動かす方が性にあってるみたいだ。

 世間はどうやら夏休みに入ったようで、ヨシから嬉しそうな報告が毎日メールで届く。どうやら行き詰まっていた所に戦闘員Dからロマンに走ってみては?と言われ、失敗しながらも充実した生活を送っているようだ。私も学生時代が懐かしい……………



「ねぇ、B。書類以外の仕事って無い?」

 私は書類を一段落するまで片付けた後、机に腕をだらりと伸ばしながらBに尋ねる。

「あー、ちょっとお持ちください。」

 Bはスマホにある日本支部で作ったアプリに記載してある社内の予定一覧を確認する、

「あったー?」

「えーと……山の受付管理人が不足しているらしいです。夏休みの効果で登山の予約が結構あるらしいですね。Aがヘルプしてますよ。」

 受付かぁー。自然の近くで気分転換も悪くないかな。

「じゃあ行こうかな。今日の内に書類を片付けておかないと。」

 そう思うとやる気が出てきた!これならいつもより多く終わらせられそうだ。

「了解です。わざわざ終わらせなくても俺がやっときますよ?」

 Bが爽やかスマイルでニコリと笑う。

 うぐ!?

「いやいや、それはBの負担になっちゃうじゃん。出来る上司は部下の手を煩わせないのだよ。」

 私は胸を張って言い切る。こ、これはなかなか決まったんじゃないかな?

「そうですか?ありがとうございます。一人でも出来ますが、軍師様みたいな上司で嬉しいです!」

 ……あれ?私……今貶された?間接的に仕事が遅いとか大した事はやってないって言われた?

「………そっか。じゃあ、なるべく終わらせちゃうね!」

「俺もその分頑張ります!」

 この笑顔!?悪気がない…だと!?













「ぃらっしゃいませー。ご予約は?」

「え!?予約って必要何ですか!?」

「いえいえ、遭難事故の対策等の諸々を含めた確認の書類を作るためのものですので、予約していないからと言って、入れないというわけではないですよ。ご安心下さい。」

 ニューワールド的にもなるべく誰が出入りしたかの確認をしとかないとね。何かあったら信用問題だし。

「あ、そうなんですねー。ビックリしました!」

 かなりしっかりとしたリュックを背負った少女は、ほっと胸を撫で下ろしながら笑顔で答えた。後ろにいた数人の子達もビックリしたー!と言い合っていた。

「では、こちらの書類に一人ずつ名前と性別、緊急連絡先をお願いします。」

「えーと…連絡先って言うのは?」

 少女が怯えながら言う。

「そうですねぇ?皆さんのご年齢でしたら親御さんや学校の連絡先でも構いませんよ。」

「そうですか!じゃあ皆同じ学校なので同じ連絡先でいいですか?」

「もちろん、それでは記入をお願いします。」

 その後、少女達はそれぞれ自身の学校の連絡先ってなんだっけー?、あれだよー。と言い合いながらも記入を終えると仲が良さそうに歩いていった。


 フゥーーーー一言良いかな?




 なんで魔法少女がいるんだよぉぉぉ!!!

 よぉぉぉ!!!

 よぉぉ!!!

 ぉぉ!!!

 ぉ!!!



 ああ!!ビックリしたのはこっちだわ!ビックリしすぎていらっしゃいの最初の"い"噛んじまったよ!

 ………とりあえず、魔法少女は最初に話しかけてきた魔法少女ロナだけだった為、プライベートなのだろう。落ち着けー俺!バレてないバレてない…。


 





 登山客はこれくらいかな?

 とにかく、ハプニングは魔法少女ロナの一人だけだった為、心穏やかに過ごせなくはなかった。だってすぐ近くでニューワールドが色々やってんだからバレたら本当に終わりだもんなぁ。

 まぁ、それはAに連絡して丸投げしといた。

 ……いやー、部下や同僚以外との会話も楽しいもんだな。ちょくちょく他の仕事もやってみようかなぁ。

 あ、戦闘は無しで。

 


 …………にしても暇だ。

「…………なんかのニュース記事でも見るか。」

 えーと…何々………


 魔法少女イサドラ、日本に初来日まで残り2日!


 またも食材高騰。昔から人気のあの商品まで!?


 記録的大雨続く……今季の台風と影響は!?


 大物女優Mに熱愛発覚!?……禁断の三日間とは?


 ……………くそ、魔法少女の文字が視界にちらつく…………見るか。


 魔法少女イサドラ。

 目的は文化交流や情報交換、戦闘演習………う~ん、ニューワールドは同じ組織であっても他の国で何やってるか知らないんだよなぁ。

 何回か私と将軍でニューワールド全体の会合に参加したことがあるが、全員英語でしかもペラペラだった為、私達は曖昧に微笑むことしか出来なかった。何となーく植林計画についても伝えようとしたのだが、めっちゃ笑われた。多分何かのジョークを言ったと思われてるか、英語が雑魚すぎて伝わってないかのどちらかな気がするね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る