第6話

「お、おはようございます、天宮さん……お、おきてください……」


 翌日、ぼくは天使様に起こされていた。頼んでないよな?何故?しかも勝手に部屋に入ってきたぞ……まぁいいけど……


「……おはようございます。何事ですか」


「は、はやく起きちゃったので、起こしてあげようかなぁと。さ、サービスです!よ、よかったら毎日お、起こしちゃいますよ、ふひひ……」


 見た目と違って押しの強い天使様だな……昨日も結局ゴネられて笑顔に騙されたし、これはもう降参するしかないかもしれない……嬉しそうでなかなか断りづらいんだよな……


「さて、ち、朝食を作りますよっ。天宮さんはきっ着替えて待っててください」


 天使様の言葉に従って、顔を洗い着替えて居間のテーブルについて天使様が朝食を作ってくれるのを待つ。ものすごく申し訳ない。台所に目をやると、天使様が標準服にマイエプロン姿で楽しそうに料理をしている。しかも鼻歌付きだ。微妙に音痴なのがなんとも言えない。


「さ、さぁ、どうぞ!おめしあがりください!」


「い、いただきます」


 朝食はトーストと目玉焼きとサラダ、コーヒーだった。食べてみる。目玉焼きが若干硬い。正直に言うと、可もなく不可もなく……コーヒーを飲む。いつものインスタントだなこれ。


「私もたべますね……む……うーん……」


 天使様は渋い顔をしている。可もなく不可もなく、っていう顔だな、多分。


「もっとしゅ修行してきます……」


「いえ、十分おいしいですよ。ありがとうございます」




 夕食はカレーだった。可もなく不可もなくだった。カレーで可がないのは大丈夫なのだろうか……


「す、すいません!もっと修行します!」


「いえ、今のままでも十分です。ありがとうございます」


「うぅ……」


 ちょっと泣きそうになってる天使様。申し訳無さがMAXだ。


「だ、大丈夫です!昼間は時間があるのでもっと修行できます!」


「は、はい……じゃあ、よろしくお願いします……」


「まかせてください!で、でも、二人で食べるの楽しいですね!えへへ……」


 また笑顔に騙された。でも、騙されるのも仕方がないのかもしれない。

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