第11話 騎士団の拠点へ

 ―― あらすじ ――


 学校を卒業しました。


 ―――――――――


 久々に揃った家族と隣家の親友の一家で祝いのパーティーを開いてから、数日後。

 俺達二人は社会体験活動のあいだお世話になる騎士団の拠点へと向かっていた。


「僕達がお世話になる第13騎士団って、以前に学校に来ていた人達だったよね?」

「そうだな。入学試験の時に試験官としていたな。あとは講師として来た時もあったか…?」

「そういえば…拠点に体験学習で行った時もあったね。」

「そうだったな…。あの時はたしか ―――」


 学校での思い出を話しながら歩いて目的地の近くまで来ると、見覚えのある三人が少し先にある曲がり角から出てきた。


「おう!数日ぶりだな~?」

「久しぶりというほどじゃないだろうけども…お久しぶりですネ。」

「やっほ!二人とも元気してた?」

「うん、三人とも久しぶり~。元気だよ!」

「ん、まぁそこそこだと思う。」


 合流した俺達はここ数日でのことや騎士団のことを話しつつ入口へと移動していくと、すでに入り口には体験活動に参加の希望者が集まっていて騎士が案内のために声を上げていた。


「はーい、事前に申し込んでた人はここから入って右手にある簡易テントで番号貰ってねー。そうじゃない人は簡易テント奥にいる札を持った騎士の案内に ―――」


 入り口付近に集まっていたのはギリギリまでどこにお世話になるか決めかねていて事前に申し込むことができなかった人達のようだ。

 俺達はすでに学校から希望者リストが送られていた為、簡易テントでスムーズに手続きを済ませることができた。

 手続きを済ませた後は受付の人に言われた指定の場所へと向かう。


「前に来た時とあんまり変わんないね~?」

「だなぁ。人が多いくらいか?」

「僕達が行くのって屋内訓練場だったよね。」

「そうだネ。あそこを右に行けば到着だったハズ。」


 建物の中は以前に来た時とあまり変わらず清潔に保たれていて機能的だが殺風景な感じだ。夜とかは肝試しができそうな…。

 そんなどうでもいいことを考えていると屋内訓練場へと到着する。内部は普段と違うようで、大量の荷物と机が置いてあった。


 事前申し込み者はコチラ!と書かれた案内板のところへ行くと入り口の受付で受け取った番号と同じ数字が書かれた荷物を渡された。


「ハイ。この荷物をもったら、そっちの受付で寮の確認をして向かってねー。」


「君は…ぉ、覚えやすくていいな?君の寮は13号棟の13番室だな!」


 何かと13という数字に縁があるようだ…。覚えやすくていいと言われた寮の部屋は二人部屋のようだ。ベッドや机、簡易兵装用のメンテナンスポッド等が2つずつ置いてある。

 簡易兵装は騎士団員が普段から練習着の下に身に着けている共通の装備だ。インナーとも呼ばれ兵装の下に着用するもので、魔力の伝導効率を上げる効果がある。

 丈夫で厚手な全身タイツの様なものなので、体型が出るから少し苦手だったと姉が言っていたな…。


「あ、リフと同じ部屋だったんだね。」

「仮の加入者は仲の良い者同士で組まれているって言われたはずだぞ?」

「そうだっけ…?」

「まぁそんなことより部屋のどっち側を使うか決めようか。」


 言われた…よな?自信が無くなってきたため誤魔化しも込めて話を逸らす。

 その後、トトキは部屋に入って右側を使う事にしたようだ。…前世ではよく好んで右側のものを選んでいたな。何か理由でもあるのだろうか…。


「さて、荷物を置いたら第5訓練場に行くぞ。」

「実力チェックだっけ?」

「そうだ。ここで実力が認められれば任務への同行が早い段階で許可される。」

「そっか~。任務か…都市の外ってどんな感じなんだろうね?」


 都市に住む者は基本的に外へ出る事が無い。魔物が多く存在し場所を整えてもすぐに破壊されてしまうため、長期的に滞在することができないのだ。

 基本的には世界各地にある都市に人間が住み、都市間は地上を走行する装甲列車によって繋がっている。地下に道を作ろうと考えられた時もあったようだが、地下に設置されたものは地面の中に住む魔物によって破壊されてしまうため計画段階で消えたらしい。

 都市は地下に広がっているが地下は特に分厚い防壁で守られている。それを地下道にも…とはいかなかったのだろう。管理しきれないだろうからな。


 荷物の整理を終え、着替えた俺達は途中でメクリマやパソテと合流し訓練場へと向かう。姉から少し聞いていたが…貼りつくような感じのするインナーは着心地がいいとは言えないな。慣れれば動きやすくなり着心地も良くなるらしいが…。


「体験訓練生は全員集まってるな?」

「はい。こちらのリストの順に並ばせております。」

「よし…諸君らは魔装士の候補生だ。事前に学校からデータが送られているため計測は無いが実際にどれだけ動けるかを調べるため、騎士たちとの模擬戦を行う!」


 騎士たちにより整列させられた後、教官が訓練場に入ってきた。そして、模擬戦を行うことが告げられる。というかこの訓練場に集められたのは魔装士の候補生だったのか。クラス1にいなかった人達も多かったから気づかなかったな。


 その後、俺達はいくつかのグループに分けられ訓練場に散らばった。担当の騎士が数人いるのだが…その中の一人に見覚えがあるような…。


「あれ?マリエスタ先生じゃないですか!」

「ふふっ…久しぶりね?トトキ君。」

「どうして先生がここに…。」

「実は魔法の教師は騎士が入れ替わりで担当しているのよ。より実践的な魔法の使い方を教えるために、ね。」


 学校で魔法を教えてくれたマリエスタ先生だったようだ。服装的に…隊長クラスか?教わる時にそれなりに実力がある人だと思っていたが立場のある人だったか…。


 予想外の再会で少し話をしている間に周囲では模擬戦が始まったようだ。俺達もこれから行うわけだが…無事に任務への同行の権利を取れることを祈ろう。

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