ナイアガラの滝

第1話 記念

雷雨の凄い夜、2人は同棲記念として祝杯をあげていた。

なのにどこか空気が重く、雨と雷の音がやけに響く。

何も話さない2人はただひたすら酒を浴びていた。

やっと口を開いたのは麗夜だった。

「美晴、ナイアガラの滝って知ってる？」

「うん知ってるよ」

「ナイアガラの滝って日本にもあるの知ってた？」

「え？外国にしかないでしょ」

「日本にもあるんだよ、竜宮城に繋がっていると言われてるんだ」

「いつかは行ってみたい」

そんな微笑ましい会話をして2人は寝についた。

ある日、麗夜は約束通り美晴をナイアガラの滝に連れていった。

「すごく綺麗だね」そんな美晴を記念にと1枚写真を撮った。

「外国に行かなくても日本にナイアガラの滝はあるんだね」美晴はそう言って笑っていた。

でも2人は自分が隠し持つ真実を全部流してしまいたいと心の中で思っていた。

嬉しいことも楽しいことも悲しいこと辛いことも全部全部流れてしまえばいいのに。そしたらこんなに2人で居ることが辛くないのに。

2人の笑顔の裏だった。