推しと一緒にゲームプレイ

長時間のゲームプレイにより疲れた深い眠りにつき、今俺は目を覚ました。


体が軽い。でもこれは寝て体力が回復したからというわけではなさそうだ。


「お目覚めですか?」

「気分がいい。もうやりたいことができそうな気がする」

「やりたいことですか。なんですか?」

「結果報告のみならするよ」

「秘匿ですね分かりました」


俺は力が強くなった原因であろうあの配信。アーカイブにも残っている。どれくらい反響があっただろうか。俺は通知を最初っからオフにした。俺はドキドキしながらスマホを開きPV数を確認する。


――――

パソコンだぁ!エペキーマウだぁ!

203万回再生 高評価69万 低評価1,032

――――


俺は無意識のうちに大きな笑みを浮かべていた。最高だ。コメントには「最後上手!」「ニトロさんから来ました!運なさすぎw」「ニトロから来たけどキャリーされてチャンピオンとかダサ」「ウィングマンうめぇなw」とかだ。まれに批評するようなコメントがある。

それよりもニトロさん。最後の試合で一緒になった味方だが本物だったのか。ディスコでの名前を見た時は偽物を疑ったがやはり本物だったのか。


爆裂 ニトロ。あまりVtuberに詳しくない俺でも知っている。登録者数300万人越えの超人気Vtuberだ。主にゲーム実況をしている。腕前はギリプレデターに届かないくらいの実力。


俺はディスコを開きニトロさんにチャットで文言を送る。


『今回の件ありがとうございました。明日も夜配信しようと思っています。その時一緒にプレイできますか?』


俺が画面から目を離そうとした時ニトロさんから返信が返って来た。


「はやっw」

『もちろんだよ。なんなら今から一緒にやる?』


俺は『もちろん』と一言送りボイチャを繋ぐ。


「どうも。改めて拡散ありがとうございますね」

『全然いいよ。君のやりたい事って結局何なの?』

「まあいいや教えるよ。人間だったころの友達と夢の中でいいからもう一度話をしたい」

『…なぁんかシリアスっぽいからバッサリカットで』

「オッケーマッチ行こうマッチ」

『せっかくだからフレ呼んでトリオ行こう。ディスコも呼ぶ』

『…あ、お前がスプラリック君?よろしくな』

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

『『!!!!!?』』


脳がぁ推しの声で脳が溶けてくぅ。


「カカムさんですか?」

『知ってるの?そうだよ彼はカカム。友達なんだ』

「知ってますよ!登録者数50万人、主にゆっくり実況でのマイクラ、エペの動画投稿をしていて配信の際はヴァロもしているツッコミが間に合わない動画とマイクラでの異常な大規模作業全カットが人気なHowtuberですもん!」

『もしかして君彼の「ファンです!」やっぱりか』

『うおぉ。ありがとな。そういうのがモチベだから』

「認知してくれてなくてもいいのですが「春の小言」って名前知ってますか?」

『知ってるよ!配信するたびに初手で無言黄色スパチャしてくれる人だよね』

「あれ親の手伝いしまくて稼いだ金です。どうぞエナドリとグミにご使用ください」

『俺は中学生から金を搾取していたのか?』

「搾取じゃない。恐喝」

『もっとダメじゃんww』


エペを始めるまで30分かかった。


『よし、春の小言は何使う?』

「そっちで呼んでくれるんだ。レヴ」

『こいつ俺の持ちキャラをワザととっていった!?だったら俺はガスオジ使うか』

『じゃあ僕は練習中のシアでも使おうかな』


こうして20時から25時までぶっ通しでエペをやったわけではなく。途中で飽きてフォートナイトのレゴをやったがその話はまた今度にでもしようか。


「さてと。じゃあやりますか。己の力を行使し今人間の世に変革をもたらせ。今寝ている俺の友達と俺の意識を合わせて夢の中で会話をさせてくれ」


俺はそう言うとベッドに横たわり眠りにつく。食事をしなくてもいいし歯磨きをしなくてもいい。風呂も入らなくても常時肉体は清潔化され服には汚れがつかない。素晴らしいけどある意味面白くはない。


俺は椅子に座っている。目の前にはアールグレイと数枚のクッキーが置いてある机、俺は後ろを振り向く、そこにはどうしてか懐かしく感じるあいつらがいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る