修羅征姫戦記
真木
第1話 プロローグ
―――
それがこの惑星の上で意思を持つのははじめてだった。たとえその意思が“この状態で存続したい”という素朴で初源的な意思であったとしても。
意思を持つほどそれを濃くしたのは、12,000光年離れたところで起きたその銀河最大級の恒星の超新星爆発と、3,500万光年先で起きた四つの銀河の多重衝突による時空波動の揺らぎが、たまたまその惑星を含む恒星系の空間で交差したからだ。交差した揺らぎはそれの複雑な構造を作る。様々な濃度のそれは複雑な形を作って混じり合い、互いに影響し合い、その一部が意思を持つそれになった。
――
たまたま周囲より濃くなったといえ、時間がたてば平坦にもどる。そうすれば意思を持っていたことさえ忘れて、それはまた、ただそこにあるものになってしまう。それをその濃さで保つことの出来る
側を通る者に重なってみた。角を持った四つ足のものは細胞の一つ一つをそれで充満させ、膨れあがり四散した。大きな羽で飛ぶものも、二本足で歩く毛むくじゃらのもの、毛むくじゃらでないものも、地を這いずり回るものも同じだった。対象をとっかえひっかえ何回、何十回、何百回試してみてもそれらのものは高密度のそれに耐えられなかった。時空波動の揺らぎは光速で過ぎてゆく。それに与えられた時間は多くなかった。その惑星の自転で、三回分くらいだろうか。
――
なんとしても意思を持つものとして存在し続けたかった。
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もう一話投稿します。
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