51〜60篇

癒しの歌姫

 仕事帰りのバスの中。どこからかテンポも音程も危うい歌声が。声の主を探してみれば、小さな女の子が二人がけのシートに母親と座っていた。斜向かいのおばあさんが女の子に上手だねぇ、と声をかける。すると女の子は、両手で口を隠して小さな体をさらに小さくした。どうやらバスの車内に楽しくなって歌い出してしまったようで、途端に恥ずかしくなったらしい。車内がほんわかした空気に包まれる。歌声の余韻に疲れが溶け出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る