手のひらに秋麗

 近頃のこの国の異常気象といったら。暦の上では秋を迎え、スイーツ売り場では、栗や芋など季節の食材をあしらった商品が並んでいる。それなのに、外気温は高く、日差しは日傘が手放せないほどに強い。秋はどこだ。あまりにも秋らしさがないので、雑貨屋で金木犀の香りのハンドクリームを購入した。手に適量取り出して温めながら塗り込む。ほんのりと鼻腔をくすぐる秋の香り。それに思わず口角が上がる。秋だ。わたしだけの秋。

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