味噌汁と歯車

 味噌汁を作り終わって天を仰ぐ。また、やってしまった。明らかにひとりで消費するには多い味噌汁が鍋の中で対流している。

「慣れないなぁ」

 あの人がいなくなったことでうまく回らなくなった歯車は存外に多かった。この味噌汁もそう。きっと食べ切れずに処分することになる。もったいないけれど、仕方ない。だって、減らしてくれる人がいない。ぎちぎちと噛み合わない歯車をしまった胸が痛かった。

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