第七章③
止まっていた朝比奈さんの時間が動いた。メイド服のスカートをぎこちなく
ふん、と鼻息を
「あんた、メイド
「なんのこった」
「
好きにしたらいい。朝比奈さんが
「着替えるって言ってるでしょ」
だから何なんだ。
「出てけ!」
ほとんど
「なんだ、あいつ」
湯飲みを置くヒマもなかった。俺は茶色の液体で
この
「あー、そうか」
教室でも堂々と着替えをおっぱじめるハルヒが、わざわざ俺を部室から放りだしたのが引っかかっているのだ。
はて。どういう心境の変化だろ。それともいつしか
持ったままの湯飲みをリノリウムの廊下に置いて、俺は片あぐらをかいた。
しばらく待って、部屋でごそごそする気配が止まっても中に入れと言う声がかからず、俺がぼんやり
「どうぞ……」
朝比奈さんの小さな声がドア
「手と肩は
と言って、ハルヒはずるずると湯飲みの茶をすする。長門がページをパラリとめくった。
バニーガールとメイドさんに囲まれ、どうしていいものやら見当もつかない。どっかでこの二人を客引きのバイトにでも
「うわ、なんですか」
笑顔のままで
「あれ、今日は仮装パーティの日でしたっけ。すみません、僕、何の準備もしてなくて」
話をややこしくするようなことを言うな。
「みくるちゃん、ここに座って」
ハルヒが自分の前のパイプ
この場面だけを切り取れば、まるで妹の髪をセットしてやっている姉、みたいな美しい
底の浅い
「オセロでもやるか」
「いいですね。久しぶりです」
俺たちが白と黒の
何の集まりなんだか、ますます
そう、その日、俺たちは何の
あまりの何もなさに物足りなさを感じつつも、「なあに、時間ならまだまだあるさ」と自分に言い聞かせてまた
それでも俺は
涼宮ハルヒとその一味みたいに呼ばれるのは
そうさ、俺はこんな時間がずっと続けばいいと思っていたんだ。
そう思うだろ?
だが、思わなかった
決まっている。涼宮ハルヒだ。
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