第七章②
さしものハルヒも熱気にだけはいかんともしがたいらしく、くたりと机に寄りかかってアンニュイに
「キョン、暑いわ」
そうだろうな、俺もだよ。
「
「他人を扇ぐくらいなら自分を扇ぐわい。お前のために余分に使うエネルギーが朝っぱらからあるわけないだろ」
ぐんにゃりとしたハルヒは昨日の
「みくるちゃんの次の衣装なにがいい?」
バニー、メイドと来たからな、次は……ってまだ次があるのかよ。
「ネコ耳? ナース服? それとも女王様がいいかしら?」
俺は頭の中で朝比奈さんを次々と
「マヌケ
と決めつけた。お前が話を
「ほんと、
ハルヒは口を見事なへの字にした。まるでマンガのキャラクターみたいに。
早めに体育を切り上げていた女子どもの着替えは終わっていたが、後はホームルームを残すだけとあって運動部に直行する数人は体操着のままであり、運動部とは
「暑いから」
というのがその理由である。
「いいのよ、どうせ部室に行ったらまた着替えるから。今週は
「そりゃ合理的だな」
朝比奈さんのコスプレは体操着でもいいな。コスプレと言わないか。正体は不明でも一応は高校生をやってるんだし。
「なんか
心を読んだとしか思えない的確なツッコミを放って俺をじろりと
「あたしが部室に行くまで、みくるちゃんにエロいことしちゃダメよ」
お前が来てからならいいのか、という言葉を飲み込んで、俺は新米の保安官に
いつものようにノックの返事を待って部室に入る。テレーズ人形のようにちょこんと
テーブルの
「お茶
頭のカチューシャをちょいと直し朝比奈さんは
俺はどっかりと団長机に
パソコンのスイッチを入れ、OSの起動を待つ。ポインタから砂時計マークが消えたのを見計らって、俺はフリーソフトのビューワを立ち上げると、自分で設定したパスワードを入力してフォルダ「MIKURU」の中身を表示させた。さすがコンピュータ研が泣きながら手放した新機種だけあってたちどころにサムネイル表示、朝比奈さんのメイド画像コレクション。
朝比奈さんが湯飲みを用意している様子を片目で確認しながら、俺はその中の一枚を拡大し、さらに拡大。
ハルヒによって無理矢理取らされた
「なるほど、これか」
「何か解ったんですか?」
机に湯飲みが置かれるより前に俺は手際よく画像を閉じていた。このへん、
「あれ、これ何です? このMIKURUってフォルダ」
ぐあ、抜かった。
「どうして、あたしの名前がついてるの? ね、ね、何が入ってるの? 見せて見せて」
「いやあ、これはその、何だ、さあ何なんでしょうね。きっと何でもないでしょう。うん、そうです、何でもありません」
「
朝比奈さんは楽しそうに笑ってマウスに手を
「あの、朝比奈さん、ちょっと
「見せて下さいよー」
左手を俺の肩にかけ、右手でマウスを追いかける朝比奈さんの上半身が背中でつぶれている
クスクス笑いが
「何やってんの、あんたら」
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