第六章⑦
三十階建ての商業ビルよりも頭一つ高い。くすんだコバルトブルーの
何だ、アレは。
かたわらのビルを屋上から半ばまで
「涼宮さんのイライラが具現化したものだと思われます。心のわだかまりが限界に達するとあの巨人が出てくるようです。ああやって周りをぶち
青い光の巨人が腕を振るたびにビルたちは半分からへし折られて
「あれくらいの巨大な人型になると、物理的には自重で立つことも出来ないはずなんですがね。あの巨人はまるで重力がないかのように振る
「じゃ、あれは暴れっぱなしなのか」
「いいえ。僕がいるのはそのためでもあるのですから。見てください」
古泉は指を巨人に向けた。俺は目を
「僕の同志ですよ。僕と同じように涼宮さんによって力を与えられた、巨人を
赤い光の粒は、
だが巨人は自分の顔の前を飛び回る赤い球体など目に入らない様子で、
複数の
「さて、僕も参加しなければ」
古泉の身体から赤い光が
デタラメだな、もう。
ふわりと
古泉のなれの果てを加えた赤い光群は一秒もじっとしていないため総数を数える気にもならないが、二
ゆらあり、と巨人の片腕が肘から切断され、
赤い玉たちは
青い光が立つ辺り一面が
上空を旋回していた赤い点々は、それを見届けると、四方に散った。大半はすぐに見えなくなったが一つが俺に向かって飛んできて、雑居ビルの屋上に
「お待たせしました」
息一つ乱れていない。
「最後に、もう一つ
空を指さした。これ以上何があるんだと思いながら、俺はダークグレー一色に染まった天空を見上げ、それを見た。
最初に巨人を見かけた辺り、その上空に
「あの青い
古泉の説明口調が終わるかどうかのうちに、亀裂は世界を
パリン。
音はしなかった。だが俺はガラスが
つんざくような
世界は元の姿を取り
風が
「
雑居ビルを後にした俺たちの前に
「いいや」と俺は答えた。本心から。
そう言うと思いました、と古泉は笑いを
俺は
「なぜ我々にだけこんな力が備わったのかは不明ですが、多分
因果な話です、と言って古泉は
「《神人》の活動を放置しておくわけにはいきません。なぜなら、《神人》が
俺はようやく口を開いた。
「なぜそんなことが解る」
「ですから、解ってしまうのだからしょうがありません。『機関』に所属している人間はすべてそうです。ある日
困ったものです、と
それきり俺の自宅に
車が止まって俺が降りる
「涼宮さんの動向には注意しておいて下さい。ここしばらく安定していた彼女の精神が、活性化の
俺が注意しててもどうこうなるもんでもないんじゃないのか?
「さあ、それはどうでしょうか。僕としてはあなたにすべてのゲタを預けてしまってもいいと思ってるんですがね。我々の中でも色々と
半分ほど開いたドアから身を乗り出していた古泉は俺が言い返すよりも早く頭を引っ込めた。ドアが閉まる。都市伝説にありそうな
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