第六章④
ローカル線の線路沿いを歩いていくハルヒの二、三歩後に俺は位置し、目的地不明のウォーキングに付き従っている。このままでは俺の自宅から
「別に」
答えが返ってきた。俺はハルヒの後頭部を
「俺、もう帰っていいか?」
いきなり立ち止まるもんだから、もう少しでつんのめるところだった。ハルヒは長門みたいな無感動な白い顔を俺に向け、
「あんたさ、自分がこの地球でどれだけちっぽけな存在なのか自覚したことある?」
何を言い出すんだ。
「あたしはある。忘れもしない」
線路沿いの県道、そのまた歩道の上で、ハルヒは語り始めた。
「小学生の、六年生の時。家族みんなで野球を見に行ったのよ球場まで。あたしは野球なんか興味なかったけど。着いて
まるで弁論大会の出場者みたいにハルヒは一気にまくしたて、
電車が線路を走り
「そうか」
こんなことくらいしか言えない自分がちょっと
「帰る」
と言って、もと来た方向へ歩き出した。俺もどっちかと言えばそっちから帰ったほうが早く帰れるんだが。しかしハルヒの背中は無言で「ついてくんな!」と言っているような気がして、俺はただひたすらに、ハルヒの姿が見えなくなるまで──その場に立ちつくしていた。
何をやってるんだろうね。
自宅に
「こんにちは」
十年前からの友人みたいな
「いつぞやの約束を果たそうかと思いまして。帰りを待たせてもらいました。意外に早かったですね」
「俺がどこに行ってたのか知ってるみたいな話し方だな」
スマイルゼロ円みたいな笑みをたたえた古泉は、
「少しばかりお時間を借りていいでしょうか。案内したいところがあるんですよ」
「涼宮がらみで?」
「涼宮さんがらみで」
俺は自宅の
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