第六章②
ドアが閉まった。多分、追いかけていっても
はー、それにしても朝比奈さんがあんなに美人になるとは、と考えて、俺は先ほど彼女が最初に言ったセリフを思い出した。何と言った? 「久しぶり」。この言葉が表す意味は一つしかない。つまり朝比奈さんは長らく俺に会っていなかったのだ。と言うことは。
「そうか。そうだよな」
未来人であるところの朝比奈さんは、遠からず元いた時代に
いったい彼女にとってどれくらいの時間が経過していたのだろうか。あの成長ぶりから見ると、五年……三年くらいか。女ってのは高校を出ると劇的に変化するからな。それまで
腹が減った。教室に戻ろう。
「…………」
長門有希が
「よお、来るとき朝比奈さんに良く似た人とすれ
「朝比奈みくるの異時間同位体。朝に会った」
「今はもういない。この時空から消えたから」
「ひょっとしてお前も時間移動とか出来るのか? その情報ナントカ体も」
「わたしには出来ない。でも時間移動はそんなに難しいことではない。今の時代の地球人はそれに気づいていないだけ。時間は空間と同じ。移動するのは簡単」
「コツを教えてもらいたいね」
「言語では
「そうかい」
「そう」
「そりゃ、しょうがないな」
「ない」
山びこと会話しているようなむなしさを感じ、俺は今度こそ教室に戻ることにした。飯食う時間あるかな。
「長門、昨日はありがとよ」
無機質な表情がほんの少しだけ動いた。
「お礼ならいい。朝倉涼子の異常動作はこっちの責任。
ひょっとして頭を下げたのだろうか。
「やっぱり眼鏡はないほうがいいぞ」
返答はなかった。
なんとか
どうやら
「どこ行ってたのよ! すぐ帰ってくると思ってご飯食べないで待ってたのに!」
そんな心から
「アホなことほざいてないで、ちょっとこっち来て」
俺の
とにかく腹が減っていた。
「さっき職員室で岡部に聞いたんだけどね、朝倉の転校って朝になるまで
「そうかい」
「それであたし、カナダの
まともに口をきいたこともないくせに。
「そしたらどうよ、それすら
「ねえよ」
「せっかくだから引っ越し前の朝倉の住所を
相変わらず人の話を聞かない
ま、別に止めないことにする。
「あんたも行くのよ」
「なんで?」
ハルヒは
「あんたそれでもSOS団の一員なの!」
ハルヒの伝言を
古泉はともかく朝比奈さんがメイド服に
そんなことをしていたおかげで、俺は
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