第五章⑤
俺が最初の
なぜか朝倉は追ってこない。
……いや、待て。この
「
こういうときには
「マジ危ないって! それが本物じゃなかったとしてもビビるって。だから、よせ!」
もうまったくワケが解らない。解る
「冗談だと思う?」
朝倉はあくまで晴れやかに問いかける。それを見ているとまるで本気には見えない。笑顔でナイフを向けてくる女子高生がいたら、それはとても
「ふーん」
朝倉はナイフの背で
「死ぬのっていや? 殺されたくない? わたしには有機生命体の死の
俺はそろそろと立ち上がる。冗談、シャレだよな、これ。本気だったらシャレですまされんが。だいたい信じられるわけがないだろ。別に
だが、もしあのナイフが本物だったなら、とっさに
「意味が
「うん、それ無理」
「だって、あたしは本当にあなたに死んで欲しいのだもの」
ナイフを
?????
ドアがない。窓もない。
ありえない。
「
背後から近づいてくる声。
「この空間は、あたしの情報
「ねえ、あきらめてよ。結果はどうせ同じことになるんだしさあ」
「……何者なんだ、お前は」
何回見ても壁は壁でしかない。立て付けの悪かった引き戸も
俺はじりじりと机の間をぬって朝倉から少しでも
おっかけっこは長くは続かず、俺はたちまちのうちに教室の
こうなったら。
「無駄。言ったでしょう。今のこの教室はすべてあたしの意のままに動くって」
待て待て待て待て。
何だこれは。何なんだこれは。冗談でもシャレでも俺か朝倉の頭が変になったわけでもないとしたら、いったいこれは何だ。
あなたを殺して涼宮ハルヒの出方を見る。
またハルヒか。人気者だな、ハルヒ。
「最初からこうしておけばよかった」
その言葉で俺は
足が床から生える木にでもなったみたいに
「あなたが死ねば、必ず涼宮ハルヒは何らかのアクションを起こす。多分、大きな情報
知らねえよ。
「じゃあ死んで」
朝倉がナイフを構える気配。どこを
空気が動いた。ナイフが俺に降ってくる。
その時。
顔を上げた俺は見た。何を?
俺の首筋に今にも
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