第五章④
どう
そんなことを考えながら俺はワケもなく校内を練り歩いた。ハルヒは体調不十分を理由に早々に帰宅しちまった。好都合と言えば好都合だ。
俺はいったん部室に行くことにした。あまり早く五組に
一人うなずきながら歩いている間に部室の前までたどり着いた。ノックを忘れない。
「はーい、どうぞ」
朝比奈さんの返答を確認して俺はドアを開ける。朝比奈さんのメイド姿はいつ何回見ても
「
お茶を
「帰りました。何だか
「そんなの、しませんよー」
長門が読書に情熱を
「古泉は来てないんですか?」
「古泉くんね、さっきちょっと顔を見せたんだけど、アルバイトがあるからって帰っちゃった」
何のバイトなんだかな。ま、この様子ではここにいる二人が手紙の主ではなさそうだ。
時計は五時半あたりを指している。教室に残っている生徒など一人としていまい。
谷口だって
「遅いよ」
朝倉涼子が俺に笑いかけていた。
清潔そうなまっすぐの
教室の
「入ったら?」
引き戸に手をかけた状態で止まっていた俺は、その動きに誘われるように朝倉に近寄る。
「お前か……」
「そ。意外でしょ」
くったくなく笑う朝倉。その右半身が夕日に
「何の用だ?」
わざとぶっきらぼうに
「用があることは確かなんだけどね。ちょっと訊きたいことがあるの」
俺の真正面に朝倉の白い顔があった。
「人間はさあ、よく『やらなくて
「よく言うかどうかは知らないが、言葉通りの意味だろうよ」
「じゃあさあ、たとえ話なんだけど、現状を
「なんだそりゃ、日本の経済の話か?」
俺の質問返しを朝倉は変わらない笑顔で無視した。
「とりあえず何でもいいから変えてみようと思うんじゃない? どうせ今のままでは何も変わらないんだし」
「まあ、そういうこともあるかもしれん」
「でしょう?」
手を後ろで組んで、朝倉は
「でもね、上の方にいる人は頭が固くて、急な変化にはついていけないの。でも現場はそうもしてられない。手をつかねていたらどんどん良くないことになりそうだから。だったらもう現場の独断で
何を言おうとしているんだ? ドッキリか? 俺は
「何も変化しない観察対象に、あたしはもう
キョロキョロするのに気を取られて、俺はあやうく朝倉の言うことを聞き
「あなたを殺して涼宮ハルヒの出方を見る」
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