第五章③
「……」
朝比奈さんはフリフリのエプロンドレスを手に持って、ドアノブを握ったまま
「失礼しました」
声を出される前に俺は
しまったな、ノックすべきだった。いや待て、
「すみません」
「いえ……」
ドアを開けてくれた朝比奈さんの頭二つぶんくらい低いところにある
「わたしこそ、いつも
全然けっこうです。
どうやらハルヒの注文を
やっぱり
このまま朝比奈さんと見つめ合っていたら、さっきの映像やら何やらが脳内でこんがらがって究極的にダメになりそうだったので、俺は理性を総動員してリビドーを
視線を感じて目を上げると長門有希が
HTMLエディタを起動してホームページファイルを呼び出す。いつまでも代わり映えしないSOS団サイトをどうにかしようと思ったのだが、何をどう発展させればいいのか見当もつかない。いつも
「ども」
さっき古泉にコーヒーを
朝比奈さんはさらに長門にもお茶を配って、その
結局その日、ハルヒは部室に姿を現さなかった。
「昨日はどうして来なかったんだよ。反省会をするんじゃなかったのか?」
例によって例のごとし。朝のホームルーム前に後ろの席に話しかける俺である。
机に
「うるさいわね。反省会なら一人でしてたわよ」
「見落としがあったんじゃないかと思って」
犯行現場に何度も足を運ぶ習性のあるのは
「暑いし
衣替えは六月からだ。あと一週間ほど五月は残っている。
「涼宮、前にも言ったかもしれないけどさ、見つけることも出来ない
ガバッと起きあがって
「高校生らしい遊びって何よ」
声にも
「だから、いい男でも見つけて市内の散策ならそいつとやれよ。デートにもなって一石二鳥だろうが」
あの日の朝比奈さんとの語らいを思い出しながら俺はそう提案する。
「それにお前なら男には不自由しないぞ。その
「ふんだ。男なんかどうでもいいわ。
机を
「あたしだってねー、たまーにだけどそんな気分になったりするわよ。そりゃ健康な若い女なんだし
ほんと言うとまだ出来てもいないんだがな。
「何か適当なお遊びサークルにすればいい。そうすりゃ人も集まるぞ」
「いやよ」
一言で
「そんなのつまんないからSOS団を作ったのに。
こんなに参っているハルヒを見るのも初めてだが、弱気になっている顔は割合可愛かった。笑わなくても普通の顔をしているだけで、こいつはけっこう
その後、午前の授業中のほとんどを、ハルヒは
だがこの時、
実はハルヒに話しかけながら、俺は一つの
そこには、
『放課後誰もいなくなったら、一年五組の教室に来て』
と、明らかな女の字で書いてあった。
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