第二章⑩
待望の転校生がやって来た。
朝のホームルーム前のわずかな時間に俺はそれをハルヒから聞かされた。
「すごいと思わない? 本当に来たわよ!」
欲しがっていたオモチャを念願かなって買ってもらえた
いったいどこで聞きつけたのか知らないが、その転校生は今日から一年九組に転入するのだと言う。
「またとないチャンスね。同じクラスじゃないのは残念だけど謎の転校生よ。間違いない」
会ってもないのにどうして謎だと解る。
「前にも言ったじゃないの。こんな
その統計はいつ誰がどうやって取ったんだ? そっちのほうが謎だ。
五月の
しかし独自の涼宮ハルヒ理論はそんな
果たしてチャイムギリギリ、ハルヒは何やら複雑な顔つきで
「謎っぽかったか?」
「うーん……あんまり謎な感じはしなかったなあ」
当たり前だ。
「ちょっと話してみたけど、でもまだ情報不足ね。普通人の仮面をかぶっているだけかもしれないし、どっちかって言うとその可能性のほうが高いわ。転校初日から正体を現す転校生もいないだろうし。次の休み時間にも
尋問ねえ。九組の
ふと思いつく。
「男? 女?」
「変装してる可能性もあるけど、一応、男に見えたわね」
じゃあ男なんだろ。
てことは、SOS団にやっと俺以外の男子生徒が増えるということでもある。その男子は、ただ転校してきたというだけの理由で、
員数が
卒業後のことを具体的に考えているわけではないが
どうしたものだろう。
どうもこうもない。
俺は
それからハルヒをこんこんと説得し、まともな高校生活を送らせるべきだったのだ。
宇宙人や未来人や
そう出来たらどんなに良かっただろう。
俺にもっと絶対的な意思力と行動力があれば、涼宮ハルヒという急流に流されるまま
……多分な。
今、俺がこんなことを言うのも、つまり全然普通でないことが実際に俺の身の上に降りかかったからであるのは、この話の流れからして、もうお
どこから話そうか。
まずその転校生が部室に来たあたりからかな。
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