第二章⑤
「コンピュータも欲しいところね」
SOS団の設立を宣言して以来、長テーブルとパイプ
どこから持ってきたのか、移動式のハンガーラックが部屋の
今、ハルヒはどっかの教室からガメてきた勉強机の上であぐらをかいて
「この情報化時代にパソコンの一つもないなんて、許し
一応メンバーは
ハルヒは机から飛び降りると、俺に向かって実にいやぁな感じのする笑いを投げかけた。
「と言うわけで、調達に行くわよ」
「調達って、パソコンを? どこでだよ。電気屋でも
「まさか。もっと手近なところよ」
ついてきなさい、と命令された俺と朝比奈さんを引き連れてハルヒが向かった先は、二
なるほど。
「これ持ってて」
そう言って俺にインスタントカメラを
「いいこと? 作戦を言うから、その通りにしてよ。タイミングを
俺に身を
「ああん? そんな無茶苦茶な」
「いいのよ」
お前はいいかもしれんが。俺は不思議そうにこっちを見ている朝比奈さんを
とっとと帰ったほうがいいですよ。
目をパチパチさせている俺を朝比奈さんは
そんなことをしているうちにハルヒは平気な顔でコンピュータ研究部のドアをノックもなしに開いた。
「こんちわー! パソコン一式、いただきに来ましたー!」
間取りは同じだが、こちらの部室はなかなかに
席についてキーボードをカチャカチャと
「部長は誰?」
笑いつつも
「僕だけど、何の用?」
「用ならさっき言ったでしょ。一台でいいから、パソコンちょうだい」
コンピュータ研究部部長、名も知れぬ上級生は「何言ってんだ、こいつ」という表情で首を
「ダメダメ。ここのパソコンはね、予算だけじゃ足りないから部員の私費を積み立ててようやく買ったものばかりなんだ。くれと言われてあげるほどウチは機材に
「いいじゃないの一個くらい。こんなにあるんだし」
「あのねえ……ところでキミたち誰?」
「SOS団団長、涼宮ハルヒ。この二人はあたしの部下その一と二」
言うにことかいて部下はないだろう。
「SOS団の名において命じます。四の五の言わずに一台よこせ」
「キミたちが何者かは
「そこまで言うのならこっちにも考えがあるわよ」
ハルヒの
ぼんやり立っていた朝比奈さんの背を押してハルヒは部長へと歩み寄り、いきなりそいつの手首を
「ふぎゃあ!」
「うわっ!」
パシャリ。
二種類の悲鳴をBGMに聞きながら俺はインスタントカメラのシャッターを切った。
「キョン、もう一枚
不本意ながら俺はシャッターボタンを押すのだった。すまない、朝比奈さん。と、名も知らぬ部長。朝比奈さんのスカートの中に
「何をするんだぁ!」
紅潮したその顔面の前で、ハルヒは
「ちちち。あんたのセクハラ現場はバッチリ撮らせてもらったわ。この写真を学校中にばらまかれたくなかったら、とっととパソコンをよこしなさい」
「そんなバカな!」
「キミが無理矢理やらせたんじゃないか! 僕は無実だ!」
「いったい何人があんたの言葉に耳を貸すかしらねえ」
見ると朝比奈さんは
なおも部長は抗弁する。
「ここにいる部員たちが証人になってくれる! それは僕の意思じゃない!」
「そうだぁ」
「部長は悪くないぞぉ」
しかしそんな気の
「部員全員がグルになってこのコを
俺と朝比奈さんを
「すすす涼宮さんっ……!」
足にすがりつく朝比奈さんの手を軽く
「どうなの、よこすの、よこさないの!」
赤から青へ目まぐるしく変色していた部長の顔はとうとう土気色になった。
ついに彼は
「好きなものを持って行ってくれ……」
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