第二章③
テーブルに鞄を置いて余っていたパイプ
「やあごめんごめん!
片手を頭の上でかざしてハルヒが登場した。後ろに回されたもう一方の手が別の人間の
しかもまたすんげー美少女だった。
これのどこが「適材な人間」なんだろうか。
「なんなんですかー?」
その美少女も言った。気の毒なことに半泣き状態だ。
「ここどこですか、何であたし連れてこられたんですか、何で、かか
「黙りなさい」
ハルヒの押し殺した声に少女はビクッとして固まった。
「
それだけ言ったきり、ハルヒは黙り込んだ。もう紹介終わりかよ。
名状しがたき
「どこから
「拉致じゃなくて任意同行よ」
似たようなもんだ。
「二年の教室でぼんやりしているところを捕まえたの。あたし、休み時間には校舎をすみずみまで歩くようにしてるから、何回か見かけてて覚えていたわけ」
休み時間に絶対教室にいないと思ったらそんなことをしていたのか。いや、そんなことより、
「じゃ、この人は上級生じゃないか!」
「それがどうかしたの?」
不思議そうな顔をしやがる。本当に何とも思っていないらしい。
「まあいい……。それはそれとして、ええと、朝比奈さんか。なんでまたこの人なんだ?」
「まあ見てごらんなさいよ」
ハルヒは指を朝比奈みくるさんの鼻先に
「めちゃめちゃ
アブナイ
「あたしね、
「……すまん、何だって?」
「萌えよ萌え、いわゆる一つの萌え要素。基本的にね、何かおかしな事件が起こるような物語にはこういう萌えでロリっぽいキャラが一人はいるものなのよ!」
思わず俺は朝比奈みくるさんを見た。小柄である。ついでに童顔である。なるほど、下手をすれば小学生と
「それだけじゃないのよ!」
ハルヒは
「わひゃああ!」
「どひぇええ!」
「ちっこいくせに、ほら、あたしより胸でかいのよ。ロリ顔で
知らん。
「あー、本当におっきいなー」
「なんか腹立ってきたわ。こんな可愛らしい顔して、あたしより大きいなんて!」
「たたたす助けてえ!」
顔を真っ赤にして手足をバタつかせる朝比奈さんだが、いかんせん体格の差はいかんともしがたく、調子に乗ったハルヒが彼女のスカートを
「アホかお前は」
「でも、めちゃデカイのよ。マジよ。あんたも
朝比奈さんは小さく、ひいっ、と悲鳴を
「
そう言うしかあるまい。
それからふと気が付いて、
「すると何か、お前はこの……朝比奈さんが可愛くて
「そうよ」
真性のアホだ、こいつ。
「こういうマスコット的キャラも必要だと思って」
思うな、そんなこと。
朝比奈さんは乱れた制服をパタパタ
「みくるちゃん、あなた
「あの……書道部に……」
「じゃあ、そこ
どこまでも自分本位なハルヒだった。
朝比奈さんは、飲む毒の種類は青酸カリがいいかストリキニーネがいいかと
「
何が解ったんだろう。
「書道部は辞めてこっちに入部します……」
「でも文芸部って何するところなのかよく知らなくて、」
「我が部は文芸部じゃないわよ」
当たり前のように言うハルヒ。
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