第一章④
そんなこんなをしながら──もっとも、そんなこんなをしていたのはハルヒだけだったが──五月がやってくる。
運命なんてものを俺は
ゴールデンウィークが明けた一日目。失われた曜日感覚と共に、まだ五月だってのに異様な陽気にさらされながら俺は学校へと続く果てしない坂道を
「よ、キョン」
後ろから
ブレザーをだらしなく肩に引っかけ、ネクタイをよれよれに結んだニヤケ
「ゴールデンウィークはどっか行ったか?」
「小学の妹を連れて
「しけてやんなあ」
「お前はどうなんだよ」
「ずっとこバイト」
「似たようなもんじゃないか」
「キョン、高校生にもなって妹のお守りでジジババのご
ちなみにキョンというのは俺のことだ。最初に言い出したのは
「ゴールデンウィークに
投げやりに答えて俺は坂道を登り続ける。
谷口はバイトで出会った
谷口の計画する相手不在の仮想デートコースを三パターンほど聞き流しているうちに、ようやく俺は校門に
教室に入ると涼宮ハルヒはとっくに俺の後ろの席で
「曜日で髪型変えるのは宇宙人対策か?」
ハルヒはロボットのような動きで首をこちらに向けると、いつもの笑わない顔で俺を見つめた。ちと
「いつ気付いたの」
そう言われればいつだっただろう。
「んー……ちょっと前」
「あっそう」
ハルヒは
「あたし、思うんだけど、曜日によって感じるイメージってそれぞれ異なる気がするのよね」
初めて会話が成立した。
「色で言うと月曜は黄色。火曜が赤で水曜が青で木曜が緑、金曜は金色で土曜は茶色、日曜は白よね」
それは
「つうことは、数字にしたら月曜がゼロで日曜が六なのか?」
「そう」
「俺は月曜は一って感じがするけどな」
「あんたの意見なんか誰も聞いてない」
「……そうかい」
投げやりに
「あたし、あんたとどこかで会ったことがある? ずっと前に」
と、
「いいや」
と、俺は答え、岡部担任教師が軽快に入ってきて、会話は終わった。
きっかけ、なんてのは
だいたいハルヒは授業中以外に教室にいたためしがないから何か話そうと思うとそれは朝のホームルーム前くらいしか時間がないわけで、たまたま俺がハルヒの前の席にいただけってこともあって何気なく話しかけるには絶好のポジションにいたことは否定出来ない。
しかしハルヒがまともな返答をよこしたことは
だから、ハルヒが翌日、法則通りなら三つ編みで登校するところを、長かった
そのことを
「別に」
相変わらず不機嫌そうに言うのみで格別な感想を
だろうと思ったけどさ。
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