第一章③
「
谷口は弁当の中身を次々と片づけつつ、
「朝教室に行ったら机が全部
ところで今教室に涼宮ハルヒはいない。いたらこんな話も出来ないだろうが、たとえいたとしてもまったく気にしないような気もする。その涼宮ハルヒだが、四時間目が終わるとすぐ教室を出て行って五時間目が始まる直前にならないと
「でもなぁ、あいつモテるんだよな」
谷口はまだ話している。
「なんせツラがいいしさ。おまけにスポーツ万能で成績もどちらかと言えば
「それにも何かエピソードがあんの?」
問う国木田は谷口の半分も
「一時期は取っ
こいつもそう言われたクチかもな。そんな俺の視線に気付いたか、谷口は
「聞いた話だって、マジで。何でか知らねえけどコクられて断るってことをしないんだよ、あいつは。三年になった
やめとくも何も、そんな気ないんだがな。
食い終わった弁当箱を
「俺だったらそうだな、このクラスでのイチオシはあいつだな、
谷口がアゴをしゃくって示した先に、女どもの一団が仲むつまじく机をひっつけて
「俺の見立てでは一年の女の中でもベスト3には確実に入るね」
一年の女子全員をチェックでもしたのか。
「おうよ。AからDにまでランク付けしてそのうちAランクの女子はフルネームで覚えたぜ。一度しかない高校生活、どうせなら楽しく過ごしたいからよ」
「朝倉さんがそのAなわけ?」と国木田。
「AAランクプラス、だな。俺くらいになると顔見るだけで解る。アレはきっと性格までいいに違いない」
勝手に決めつける谷口の言葉はまあ話半分で聞くとしても、実のところ朝倉涼子もまた涼宮ハルヒとは別の意味で目立つ女だった。
まず第一に美人である。いつも
いつも
まだ四月だ。この時期、涼宮ハルヒもまだ大人しい頃合いで、つまり俺にとっても心安まる月だった。ハルヒが暴走を開始するにはまだ一ヶ月弱ほどある。
しかしながら、ハルヒの
と言うわけで、片鱗その一。
月曜=〇、火曜=一、水曜=二……。
ようするに曜日が進むごとに髪を結ぶ
片鱗その二。
体育の授業は男女別に行われるので五組と六組の合同でおこなわれる。
そんな中、涼宮ハルヒはまだ男どもが教室に残っているにもかかわらず、やおらセーラー服を
まるでそこらの男などカボチャかジャガイモでしかないと思っているような平然たる
あっけにとられていた俺を
その後朝倉涼子をはじめとしてクラスの女子はこぞってハルヒに説教をしたらしいが、まあ何の効果もなかったね。ハルヒは相変わらず男の目などまったく気にせず平気で着替えをやり始めるし、おかげで俺たち男連中は体育前の休み時間になるとチャイムと同時にダッシュで教室から
それにしてもやけにグラマーだったな……いや、それはさておき。
片鱗その三。
基本的に休み時間に教室から姿を消すハルヒはまた放課後になるとさっさと
何がしたいんだろうな、こいつはよ。
この件により「今年の一年におかしな女がいる」という
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