前のエピソード――第7話　水の慈悲

アルコとコンテは、ユキの福祉プールを後にし、さらに探索を続ける中で、山あいの静かな谷間に位置する小さな村に辿り着いた。その村のはずれ、小川のそばに、美しい水車が回る小さな家を見つけた。水車の優雅な回転は、まるで時間がゆっくり流れているかのような錯覚を与えた。

小屋の主、ソウタロウは、アルコとコンテを暖かく迎え入れ、彼らに自分の住む家と、水車の機能について説明してくれた。ソウタロウの家族は代々、この水車を使って穀物を挽いたり、小さな発電を行ったりしており、村の生活に欠かせない存在だった。水車は、古くからの技術と自然の力を利用した持続可能な生活の象徴である。

ソウタロウは、水車がどのようにして機能し、それがどのように地域社会に貢献しているかをアルコに詳しく教えてくれた。アルコは、この技術がどれほど環境に優しく、かつ実用的であるかに感銘を受けた。彼は、水車が回る様子や、ソウタロウが水車小屋で行う日々の作業の様子を、興味深く撮影した。

その後、ソウタロウは二人を小屋の内部に案内し、自家製のパンと、水車で挽いた穀物を使った料理をふるまってくれた。食事を通じて、アルコとコンテは、ソウタロウの生活がいかに自給自足であるかを理解し、彼の哲学と生き方に深く共感した。

食後、ソウタロウは彼らに水車小屋の秘密を明かした。実は、この水車は、小川の流れを調節することで、周囲の自然との調和を保ちながら、地域全体の水資源管理に貢献しているのだという。アルコは、この水車小屋が単に穀物を挽く場所以上のものであること、そしてソウタロウの仕事が地域の環境保全にもつながっていることを知り、感動した。

アルコとコンテが水車小屋を後にした時、彼らは自然との共生、そして古くから受け継がれる知恵の重要性を改めて感じた。水車が回る小さなお家での経験は、彼らの旅に新たな視点をもたらし、持続可能な生活への理解を深める貴重な機会となった。