第9話 星空の下の約束

アルコとコンテは、水車小屋を後にし、一日の旅を終える場所を求めてさらに進んだ。夜が迫る中、彼らは小高い丘の上に位置する古い灯台にたどり着いた。乗り物が存在しないこの世界では、灯台はもはや船舶を導く役割を果たしていない、ここは、地元の人々に愛される展望と星空観測の場所となっていた。


灯台の管理人であるミナコさんは、アルコとコンテを温かく迎え入れ、彼らに灯台の歴史とこの地域の星空の美しさについて語ってくれた。ミナコさんによると、この灯台からは、都市の光が届かないために、星空が特別にクリアに見えるという。


夜が深まるにつれ、アルコとコンテは灯台の最上階に案内された。外に出ると、彼らの目の前に広がったのは、息を呑むような星空のパノラマだった。無数の星が闇夜に輝き、天の川がはっきりと見える壮大な光景に、二人は言葉を失った。


ミナコさんは、この場所が地元の人々にとって特別な意味を持っていることを語った。人々はここで星空を眺めながら、大切な人との約束をしたり、将来の夢を語り合ったりするのだという。そして、ミナコさん自身も、かつては灯台の光と共に人々の航海を見守っていたが、今では星を通じて人々の心を照らす役割を担っていると感じていると語った。


アルコは、この星空の下で、自分自身に約束をすることに決めた。それは、旅を通じて得た経験と学びを、いつか誰かのために生かすこと。そして、この美しい星空のように、人々の心に光をもたらす存在になることだった。


ミナコさんとの別れを告げ、アルコとコンテは再び旅を続ける準備をした。灯台からの景色と、星空の下での約束は、彼らの心に深く刻まれ、旅の残りの部分で大きな励みとなった。星々が彼らの道を照らし続ける中、二人は次なる冒険に向かって踏み出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る