青汁姫

多岐出遊一(タキデユウイチ)

第1話 太古から伝わる怪しい胡散臭い(うさんくさい)予言

 地球から一兆光年離れた場所にとても美しい緑の惑星グリーンがある。

 その惑星グリーンを支配するグリーン王家には、太古より伝わる赤いブタの予言があった。


『この美しき緑の星が、赤いブタに屈する事は決して許されない、赤いブタに屈すれば緑の星に地獄が訪れ、この星は赤いブタの星になるだろう』


 そして、もう一つ緑のうざい予言があった。


『この美しき緑の星が、枯れ葉一枚だけになっても絶対に諦めない心を持ち続けよ、さすれば、救世主のやたらうざい奴が助けてくれるだろう』


 なんとも怪しい胡散臭い(うさんくさい)予言である。太古の昔からある予言かも疑わしい予言である。よって、グリーン王家には代々伝わるが、あまり信じられなかった。


 惑星グリーンのグリーン王には、宇宙一美しいと言われるミドリーヌという姫がいた。その娘のミドリーヌとの縁談の話が舞い込んできた。しかし、縁談の相手は敵であるとビッグミート星団ビッグミート皇帝の第三王子ミートボール王子であった。ミートボール星団は武力で他の星を侵略する野蛮な勢力であった。

  

 縁談を断れば、ビッグミート星団との戦争は免れない。ミドリーヌを差し出せば、侵略しないとの約束があった。しかし、ビッグミート星団と敵対する星や軍との同盟を全て破棄しなければならない。


 つまり、惑星グリーンは完全にビッグミート星団の傘下、支配下になるという事である。

 見せしめかのように、最近、惑星グリーンと同盟関係にあった惑星シースーと惑星ベーナは、ビッグミート星団に侵略されたばかりである。

 すべては宇宙一の美女ミドリーヌを手に入れる為のビッグミート星団の策略である。


 グリーン王は、怪しいとはいえ、太古から伝わる予言の事も気がかりではあった。

 悩みに悩んでグリーン王は、王の間に娘のミドリーヌを呼んで話しかけた。


「ミドリーヌ、薄々分かってると思うが、ビッグミート皇帝の第三王子ミートボールと婚約するか、ビッグミート軍相手に同盟軍と一緒に戦争するか、私は悩んでおる、」


 ミドリーヌは、泣き出した。


「すまない。ただどちらでも構わん。選んでくれぬか?かわいい娘を野蛮な星の王子にはやりたくないのも事実。戦争をしたくないのも事実だ」


「父上は卑怯です。戦争するか。ミートボール星団の傘下に入るか。私が決めろと?戦争が嫌いな私に戦争をしろと言える訳がございません。私はミートボール王子と婚約するしかありません。父上は卑怯です。答えが決まってるなら。婚約しろと言えばいいじゃないですか。なぜに私に決めさせるのですか?卑怯物っ!うわぁーーん!」


「すまない。許してくれ。私が悪かった。ミドリーヌ。そなたの言う通りだ。すまない。泣かないでおくれ。私のかわいいミドリーヌ。誰か。ミドリーヌをっ!」


 無口なミドリーヌが、大声で泣き叫んだのでグリーン王は驚いて、慌ててミドリーヌを従者に連れて行かせた。


 こうして、宇宙一の美女惑星グリーンのミドリーヌ姫はミートボール星団に嫁ぐ事が決まったのである。

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