反出生主義を今を生きる私たちが叫ぶ

@_ashtrayx3

不毛な争い

あなたはこの作品のページをどのような気持ちで開きましたか?反出生主義だなんてとんでもない!私たちはみな一同に天寿を全うすべきである!...そのような方もいらっしゃるかもしれませんね。逆も然り。とはいえその狭間に身を置きとりあえず、なんとなく今を生きているという方が大多数なのではないでしょうか。




まず反出生主義と出生主義は、どちらも考えるだけ無粋である、と私は考えています。考え始めても埒が明かないというわけです。初めこの作品を執筆するにあたって私は、どちらも正解であり不正解である、という表現を用いていました。しかしながら推敲を重ねていく内に、この表現は不適当であることに気づきました。なんだよ、結局こいつは考えるのを放棄しただけかよ!なんて思わないでくださいね。私の言い分を読んでいってくださいな。




生というものに対して、私たちは多角的に向き合っており、自由に考え方を変え、また発信することができます。何年、何十年も年を重ねていく中、一度もネガティブな気持ちになったことがないというのなら大したものでしょう。生きていく上で挫折やどうしようもない不幸な体験は必ず起こります。その度合いも様々でしょう。このような現状下では私たちは生に対して否定的になることが多くなり、現実的でない打開策を渇望したり、その人次第ですが自ら命を絶つ、といった選択をとるのも無理もありません。こういった事例が増えると、同時にそもそも我々は生まれるべきでなかった、負の連鎖を止めるために今後人間は子供を残すべきでないという考えを持つ人々も増えていきます。この考えは文明の利器により多くの人から発信され、多くの人に共感されることとなりました。




反出生主義で検索をかけようとすると、検索候補に”気持ち悪い”や”危険思想”、”かわいそう”と表示されます。個人的にこの事象にはとても興味を惹かれました。反出生主義に対して生理的嫌悪や哀れみの感情が表れています。一つ、私の考察を述べれば、私たち人間は生物の一種という切っても切れない関係にあります。一般的に生物は自ら命を絶つ行動をとりませんし、干渉することのできない本能という領域で生殖活動を行います。反出生主義はその生物としての生き方を全て否定しているわけですから、出生主義者からすれば、生理的に受け付けないといった反応が出るのも当然でしょう。また一部の情熱的な反出生主義者たちが世界と繋がった公共の場で、生を否定する光景を大々的に作り出しているのを、生を謳歌している人々から見れば、哀れみの気持ち程度は生まれるものでしょう。ただもちろん彼らも常に上向きの人生だったわけではないはずです。おそらく挫折しても最善の手を見つけ、気持ちを切り替えることが得意だったり、単純に立ち直りが早かったり、いずれにしても生に対して否定的になる時間をもったいなく感じるのでしょう。




さて長々と書き綴りましたが、私が反出生主義も出生主義も否定的に表現していないことには気づいていただけたでしょうか。ここまで読んでくれたあなたに質問させて頂きたい。正解の人生とはどのようなものなのでしょうか。恵まれない環境に生を受けた者は、直ぐに人生に見切りをつけその生涯に幕を下ろすことが正解?圧倒的な経済力もつ親の脛をかじり続ける人生が正解?今のは例です。千差万別、あらゆる生き方がある中で正解、不正解を設けることができるのでしょうか。結局のところ、私たちは正しいか否かではなく、客観的にどのような感情が芽生えるかで人生を評価しています。そんなものは同情を誘うことはできても論理的に解釈することは不可能です。当然、論理的に説明することも不可能ですし、筋道を立てることすらままならないでしょう。以上のことから私は、双方の主義を正解、不正解で表現することは不適当であると判断し、順を追っていけばどちらも”感情”に帰結するため考えるだけ無粋という結論に至りました。




硬い文章を書くと疲れてしまいますね。少し緩くいきましょう!もしあなたが自身の死生観で悩んでいるとしたら、未開の地でより動物的な生活を営んでいる集落か何かで生活することをお勧めします。彼らは生まれることも死ぬこともただの自然の道理だと考えるでしょう。生死の概念に疎くなれば多少気が楽になるのではないでしょうか。なんだかんだこんなくだらないことを考えたり、小難しい思想にのめり込めるのも生きているからこそですからね。案外生きるのも悪くないかもしれませんよ?




fin


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